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SYKEとの研究協力協定に基づく北極域研究(令和 6年度)
NIES-SYKE collaborative research on Arctic environment

研究課題コード
2125AW002
開始/終了年度
2021~2025年
キーワード(日本語)
北極,短寿命気候強制因子(SLCF),排出インベントリ,生物多様性
キーワード(英語)
Arctic,short-lived climate forcers(SLCF)hort-lived ,emission inventory,biodiversity

研究概要

温暖化が地球上で最も速く進む北極域は、気候変動による環境の変化が最も顕著に現れる地域の一つである。短寿命気候強制因子であるブラックカーボン(BC)は、大気を加熱し、また雪氷面に沈着することによってアルベドを変化させ温暖化に寄与することが報告されている。北極評議会の下部組織であるAMAP(北極監視・評価プログラム)やBC及びメタン専門家会合において、北極の気候や環境変化に関する国際的な研究活動が行われている。日本は北極評議会へオブザーバーとして参加しており、北極圏における国際的枠組みづくりに環境分野で貢献するための戦略と科学的知見による裏付けが早急に必要とされている。北極圏におけるBCの気候や環境への影響を理解し、対策を講じるためには、排出量を正確に推計し、時空間変動を把握する必要がある。しかし、BCの排出量推計には大きな不確実性があり、モデルの再現性における課題の一つになっている。そこで、SYKEと連携し排出インベントリについての情報交換や検証を行うとともに、モデルの再現性を向上させる。
また本研究では、森林生態系を対象に、植物の生物季節(展葉や落葉など)や植物機能タイプ変化をリモートセンシングにより検出手法の開発などを通じ、気候変動が陸域生態系の生物多様性に与える影響解明についてSYKE研究者らと連携して進める。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

本国際共同研究では、ブラックカーボン(BC)の化学輸送モデルに実績がある国立環境研究所と、排出インベントリに実績があるSYKEが相互に連携し、インベントリの推計方法に関する情報交換や検証を行うとともに、北極におけるBCのモデル再現性を向上させる。北極評議会のAMAP(北極監視・評価プログラム)やBC 及びメタン専門家会合、IGAC(国際地球大気化学協同研究計画)における北極大気汚染プロジェクトなどの北極研究に関する国際的な枠組みやプロジェクトに科学的知見を提供し政策貢献する。ひいては、我が国の北極圏に関する環境面での国際貢献の一つとする。
SYKEは、生物多様性観測に関しても世界的にリードしている機関のひとつである。本国際共同研究においてSYKEと連携して生物多様性観測手法の開発を進めることにより、近年世界的に関心の高まっているNature Positiveの達成など、生物多様性についての政策貢献をする。

今年度の研究概要

フィンランド国立環境研究所(SYKE)との研究協力協定に基づき、日本とフィンランドにおけるブラックカーボンや短寿命気候強制因子の国家排出インベントリの算出方法の比較など、北極域の気候・環境研究に関する情報交換を定期的に行う。森林生態系研究については、SYKE研究者らと共著のレビュー論文執筆を進める。

外部との連携

フィンランド環境研究所(SYKE)

関連する研究課題
  • : 地球システム分野(イ政策対応研究)

課題代表者

池田 恒平

  • 地球システム領域
    地球大気化学研究室
  • 主任研究員
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担当者