- 研究課題コード
- 2224AH005
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- バイオアッセイ,フィールド調査,急性毒性試験,WET手法
- キーワード(英語)
- bioassay,field survey,acute toxicity test,whole effluent toxicity method
研究概要
水環境中には多種多様な汚染物質が存在し、水生生物は常に複数の汚染物質に曝露されている。また、これらの汚染物質の中には現行法では管理されていない物質や未知の物質も多数含まれている。汚染物質の水生生物への影響を評価できる有効な手法として、米国や韓国などでは、特に化学物質の点的発生源である事業所排水の評価・管理手法として、バイオアッセイ(生物応答試験)を活用したWETの考え方が用いられている。日本においても環境省による検討が進み、短期慢性毒性試験に基づく「生物応答を用いた排水試験法(検討案)」が作成された。本研究は、検討案法のほか、OECD テストガイドライン202(ミジンコ急性遊泳阻害試験)、同203(魚類急性毒性試験)に代表される急性毒性試験などの結果を比較し、全国の様々な水環境(河川や湖沼、汽水域を含む)の調査方法としての生物影響に関するデータ蓄積を図るとともに、生物種や試験法に基づく差異を明らかにする。さらに、生物影響が確認された場合にはその原因物質(群)の推定に有効な手段である毒性同定評価(TIE)や影響指向型解析(EDA)の方法を導入し、全国の水環境の管理及び質の向上に貢献することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
各地方環境研究所で採取した水試料について、環境省・国立環境研究所から公表された「生物応答を用いた排水試験法(検討案)」に記載されているゼブラフィッシュ、ニセネコゼミジンコ、ムレミカヅキモの3種を用いた短期慢性毒性試験法にこだわらず、急性試験を含めた各種水生生物を用いた試験法を適用し、その比較検討を行う。また、試験結果をもとに新たな水環境評価手法を提案したり、毒性原因の推定を図ることで、多様な水環境において発生する水質事故時の安全確認や複数化学物質のリスク管理などに広く活用することを目指してケーススタディと情報交換、普及・啓発活動を推進する。
今年度の研究概要
調査研究の前後2回のワークショップを対面・オンラインのハイブリッドで開催するとともに、いちぶは外部地方環境研に参加を呼び掛けるためにオブザーバー参加を認める。
研究としては、
1.河川、湖沼、汽水域等公共用水域を対象にした生物応答試験の適用
短期慢性、急性毒性試験等を選択し、河川や湖沼、汽水域等公共用水域の同一の試験水を用いて生物応答試験を行い、知見を参加機関間で共有する。試験は春ー夏期に実施する。
2. 原因物質の毒性同定評価(TIE)および影響指向型解析(EDA)の検討
1.の生物影響のあった原因について、簡易な分画や化学分析による毒性同定評価(TIE)、およびより詳細な分画や化学分析を伴う影響指向型解析(EDA)手法を用いた検討を行う。
外部との連携
研究代表:埼玉県環境科学国際センター 田中仁志ほか、宮城県、さいたま市、静岡県、名古屋市、福井県、滋賀県、大阪府、福岡県の担当者
いであ株式会社がオブザーバー参加
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