- 研究課題コード
- 2123CD011
- 開始/終了年度
- 2021~2023年
- キーワード(日本語)
- ライフサイクルアセスメント,エージェントベースモデル,製品サービスシステム,循環経済
- キーワード(英語)
- Life Cycle Assessment,Agent Based Model,Product-service systems,Circular Economy
研究概要
循環経済(Circular Economy)への転換に向けて、リファービッシュ、レンタル、シェアリングなどの製品サービスシステム(Product-Service Systems)が注目されている。本研究では、新たな製品利用形態の普及と持続可能な活用へ向け、消費者行動の転換に着目した政策介入の効果を事前評価する手法を開発する。ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment)とエージェントベースモデル(Agent Based Model)による社会シミュレーションを組み合わせることで、行動変容、製品の供給形態、環境負荷を一貫して評価できる手法とする。耐久消費財に関するケーススタディを通じ、実証データに基づく行動シミュレーションを行い、持続可能な製品サービスシステム普及のための条件と効果的な施策を明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:政策研究
全体計画
本研究では、1)製品サービスシステム導入による製品循環のモデル化、2)消費者行動の規定要因の分析、3)消費者行動シミュレーションによる政策シナリオ評価の3段階を通して研究を進める。対象とする製品群は、環境負荷や普及率を踏まえ、使用年数や大きさ、現状の流通経路などの特徴が異なる耐久消費財・半耐久消費財から選定する。
令和3年度に実施する1)では、製品サービスの供給利用形態を複数のパラメーターにより定式化し、循環経済型の多様な製品利用形態を考慮した製品ライフサイクルのモデル化を行う。また、異なる製品の利用形態を考慮した上で、環境・資源効率の大幅改善につながりうる製品サービスシステム形態と特に影響の大きい要素を特定する。
令和4年度に実施する2)では、消費者が特定の製品形態を選択する理由を明らかにするため、製品サービス選択と利用の規定要因を消費者アンケート調査により把握する。これにより、異なる製品形態における購入、長期使用、修理、廃棄などの消費者行動の規定要因を定量的に把握する。
令和4-5年度に実施する3)では、製品サービスシステムの有望な導入形態を普及する効果的な政策介入を明らかにするため、消費者行動・政策介入シミュレーションを行う。エージェントベースモデルを用いることで、製品の購買・使用・廃棄状況を表現し、消費者間の情報交換や社会規範などの社会的相互作用や政策介入を含むマクロ環境からの影響を分析する。これにより、持続可能な製品サービスシステムの普及に向けた効果的な政策介入を提示する。
今年度の研究概要
令和5年度は、開発したエージェントベースモデルを用いた計算機実験に注力する。また、製品使用状況と消費者行動に関する実証データを活用し、消費者行動の多様性を反映したシミュレーション実験を行う。様々な循環経済戦略や促進策の導入を想定したシナリオ分析を行い、循環経済における耐久消費財の製品サービスシステム普及に向けて有効な施策を分析する。
- 関連する研究課題
- 26412 : PJ1_物質フローの重要転換経路の探究と社会的順応策の設計
- : 資源循環分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
課題代表者
小出 瑠
- 資源循環領域
国際資源持続性研究室 - 主任研究員
- 博士(工学)、修士(政策分析)
- 工学,政策学