- 予算区分
- S-20-1(3)
- 研究課題コード
- 2125BA001
- 開始/終了年度
- 2021~2025年
- キーワード(日本語)
- 短寿命気候強制因子,数値モデル,高分解能
- キーワード(英語)
- Short-lived Climate Forcers,Numerical Model,High-resolution
研究概要
本課題で利用する高分解能気候モデルNICAM-Chemは、全球非静力学正二十面体格子大気モデルNICAMが母体となり、エアロゾルモデルSPRINTARS・大気化学モデルCHASERが組み込まれた雲物理過程を陽に表現できるモデルである。NICAM-Chemモデルを用いて、時空間局在化の大きいSLCFsの関連排出量を変化させた数値シミュレーションを実施することで、低分解能モデルに勝る点を反映し、SLCFsの大気中濃度およびその放射エネルギー収支と水循環への影響をより高精度で見積もる。計算を効率的に進めるために、まずはモデル分解能を雲微物理モデルが適用できる最も粗いものに設定し、SLCFsと雲微物理の応答傾向を把握した上で、3.5-14kmの高分解能計算に拡張する。なお、計算機コストとの兼ね合いから、全球モデルだけではなく、NICAM特有のストレッチ格子などを用いた領域モデルの利用も検討している。また、分解能およびモデルの雲の表現の違いはSLCFs時空間分布に大きな影響を与えることから、サブテーマ(1)と(2)で計算された全球気候モデルとの比較を実施し、高分解能モデルでのSLCFs応答の差異を解析する。さらに、高分解能で初めて検知可能な極端現象にも注目し、サブテーマ(4)と協力して、SLCFs関連排出量変化に伴う極端現象の変化を定量的に評価する。その他、得られたNICAM-Chemの高分解能計算結果は、他のテーマ課題にも役立てられるように整備を行う。
研究の性格
- 主たるもの:政策研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
令和3年度(2021年度):サブテーマ(1)および(2)と同様のSLCFs排出量データ等を用いて、雲微物理モデルを考慮した実験が可能な最低分解能を探索するために、雲微物理モデルの有無の感度実験を行い、SLCFs排出量変化に対する関連物理量の変化の初期的な解析を行う。この際、モデルの基礎的な物理量の検証も既存の観測データを用いて実施する。
令和4年度(2022年度):前年度の解析に加えて、サブテーマ(1)および(2)の結果とも比較を行い、雲微物理モデルが適用できる分解能の結果を詳細に解析し、SLCFsの速い応答が及ぶ時空間領域を推定する。この解析結果次第で、領域あるいは全球高分解能モデルによる感度実験を行うかを決定し、その準備に着手する。
令和5年度(2023年度):前年度行った高分解能モデルでSLCFs排出量を変化させた感度実験に着手する。実験結果はサブテーマ(4)や他テーマにも提供する。必要であれば、特定領域をより選定した、領域高分解能モデルによる追加感度実験を行う。また、感度実験等の解析によって得られた知見を基に、モデル改良も行う。
令和6年度(2024年度):前年度行った感度実験を継続して行う。また、解析では気象の極端現象に着目する。その一方で、他テーマから得られるシナリオ実験を行うための準備に着手し、初期的実験を開始する。また必要に応じて、モデル改良・検証を継続して行い、シナリオ実験のためにモデル再整備も行う。
令和7年度(2025年度):前年度行ったシナリオ実験を本格的に実施する。実験結果はサブテーマ(4)とも共有し、特に極端現象に関する影響評価を行い、目標に掲げた定量的評価を行う。様々比較を通じて得られた知見を基に、最終的なモデル改良および新しい衛星データを用いたモデル検証を行う。
今年度の研究概要
前年度行った高分解能モデルでSLCFs排出量を変化させた感度実験に着手する。実験結果はサブテーマ(4)や他テーマにも提供する。必要であれば、特定領域をより選定した、領域高分解能モデルによる追加感度実験を行う。また、感度実験等の解析によって得られた知見を基に、モデル改良も行う。
外部との連携
九州大学応用力学研究所(S-20/S-20-1/S-20-1(1)代表)、名古屋大学大学院環境学研究科(S-20-1(2)代表)、東京大学大気海洋研究所(S-20-1(4)代表)
- 関連する研究課題
- 26411 : PJ3_最新の排出量評価等を考慮した気候・大気質変動の再現及び将来予測の高精度化
- 26453 : 地域環境保全分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
- : 地域環境保全分野(イ政策対応研究)