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令和4年度影響指向型解析を用いた化学物質のリスク評価検討業務(令和 4年度)
Study on risk assessment of chemicals using effect directed analysis in FY2022

研究課題コード
2222BY012
開始/終了年度
2022~2022年
キーワード(日本語)
生物応答試験,網羅的化学分析,分画
キーワード(英語)
bioassay,comprehensive chemical analysis,fractionation

研究概要

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)では、新規化学物質については、人の健康及び生活環境動植物に対する有害性評価等を実施することとなっているが、一定の条件を満たすことによっていくつかの試験結果の提出が免除される特例制度がある。このように有害性試験を免除され、有害性が不明な物質の中には、非常に強い毒性を有する化学物質が含まれる可能性がある。また、すべての既存化学物質についても、化学物質の有害性情報と事業者から届出られた製造・輸入数量等の暴露情報を元にスクリーニング評価・リスク評価を行い、優先評価化学物質への指定や第二種特定化学物質指定の要否について検討を行っている。
 このように、各化学物質による人健康・生態への影響は評価しているものの、実環境中では毒性未把握の物質や複数の種類の化学物質が共存することにより、生活環境動植物に被害を及ぼしている可能性が否定できない。そのため、化学物質による環境汚染をより一層防止していく観点からは、この様な化学物質による環境汚染とそのリスクについて実態を把握し、化学物質管理施策の検証とリスクの原因の特定とその削減に取り組んでいく必要がある。
 環境省においては、こうした課題に取り組むため、これまでの委託請負業務において公共用水域から採取した環境試料を対象とし、分画してバイオアッセイと化学分析に供し、毒性原因物質(主に有機化合物)を同定していくアプローチである影響指向型解析(Effect Directed Analysis: EDA)を用いた手法の有効性について調査を行ってきた。 そこで本年度では、過年度の成果を踏まえつつ、公共用水域を対象に、影響指向型解析を用いた化学物質のリスクの可視化を行い、その手法の確立に向けた検討等を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

(1)公共用水域に対する生物応答試験の実施
a) 過去の生物応答試験において影響の検出された地点の継続調査
 過年度業務で実施した生物応答試験(淡水藻類を用いる生長阻害試験、ニセネコゼミジンコを用いるミジンコ繁殖試験、胚・仔魚期の魚類を用いる短期毒性試験、以下「生物応答試験」という)で、生物の生育への影響が検出された地点のうち、継続的に評価を行う必要があると考えられる地点(6地点程度)を選定し、生物応答試験を実施する。生物応答試験の実施に当たっては「生物応答を用いた排水試験法(検討案)」を参考として、過年度業務の結果より影響が検出されないと考えられる試験生物があったり、影響が高濃度区でしか検出されなかったりした場合、試験生物や濃度区数を減らしたり、試料を固相抽出により濃縮したりして実施する。また、季節的な影響変動の評価を行う必要があると考えられる地点については、異なる時期に3回程度試料を採取して生物応答試験を実施し、生物の生育への影響の季節変動を評価する。
b) 公共用水域の新規地点における調査
 公共用水域のうち複数の事業所が立地した地点や下水処理水が流れこむ地点の下流域など、生物の生育への影響が観察される可能性があると考えられる地点(10地点程度)を環境省担当官と協議の上選定し、生物応答試験を実施する。なお、生物応答試験の実施に当たってはa)と同様に、試験生物や濃度区を減らして試験を実施する。
(2)影響指向型解析による毒性原因物質の推定の実施
過年度業務および(1)のa)またはb)で生物の生育への影響が見られた地点(3〜6地点程度、過年度業務や(1)のa)で高頻度に影響が見られた地点を優先する)を対象として、毒性原因物質の推定を行うため、以下の業務を行う。
a) 過年度業務で推定された毒性原因候補物質の確認
過年度業務において実施した多成分一斉分析により検出された物質群の生態リスク評価について、ターゲット分析による検出濃度の定量性の確認や、有害性情報が得られなかった物質について追加の情報収集などを行い、評価の精度と信頼性の向上を図る。これによって推定された毒性原因候補物質については、模擬河川水(3〜6地点程度)を添加試験等により作成し、毒性確認を行う。
b) 多成分一斉分析
 公共用水域から採取した試料を対象に、多成分一斉分析(LC/MS/MS、AIQS-GC/MS、 AIQS-LC/MS など)を行う。分析対象物質・分析手法については環境省担当官と協議の上で決定する。さらに、検出された物質群について、有害性情報を収集し、それぞれの物質の生態リスク評価を行い、(1)で検出された毒性との比較検討を行う。
c) 分画試験による毒性原因物質の推定
 公共用水域から採取した試料のうち、生物応答試験で影響が確認された試料を対象に分画を行い、毒性を評価するため生物応答試験等を実施する。毒性評価に用いる生物応答試験等の一部は、小スケールの試験や in vitro 試験を用いる。影響が見られた画分についてb)の多成分一斉分析などを実施し、検出された物質の生態リスク評価により毒性原因物質の推定を行う。
(3)専門家へのヒアリングの実施
生物応答試験や多成分一斉分析手法の選定方法や影響指向型解析のあり方について2名程度の専門家に対しヒアリングを実施する
(4)関連文献等の収集・整理
公共用水域における影響指向型解析及び生物応答試験に関する国内外の最新の研究資料や文献を収集し整理を行い、レビューを実施する。また、これらの資料・文献整理においては、(2)a)で毒性を評価するために実施する試験の技術的な裏づけとなった関連情報を含めるようにすること。
(5)公共用水域に対する影響指向型解析手法の確立に向けた課題のまとめ
(1)〜(4)の業務で得られた結果を基に、今後、より詳細な影響指向型解析を実施するに当たっての課題や方針、政策への反映方法について取りまとめる。

今年度の研究概要

同上

課題代表者

山本 裕史

  • 環境リスク・健康領域
  • 副領域長
  • Ph.D.
  • 化学,生物学,土木工学
portrait

担当者

  • 渡部 春奈環境リスク・健康領域
  • portrait
    中島 大介環境リスク・健康領域
  • 山岸 隆博環境リスク・健康領域
  • 小塩 正朗
  • 新宅 洋子
  • 八木 文乃
  • 阿部 良子
  • 大曲 遼