- 研究課題コード
- 2222BY008
- 開始/終了年度
- 2022~2022年
- キーワード(日本語)
- 環境ホルモン,メダカ,ミジンコ,ゼブラフィッシュ
- キーワード(英語)
- endocrine disrupting chemicals,Japanese medaka,Water flea,Zebrafsh
研究概要
環境省では、平成28年6月に「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応— EXTEND2016 —」を取りまとめ、EXTEND2010(平成22年7月取りまとめ)における取組の成果と課題を踏まえ、作用・影響の評価及び試験法の開発や環境中濃度の実態把握及びばく露の評価、リスク評価及びリスク管理、化学物質の内分泌かく乱作用に関する知見収集ならびに国際協力及び情報発信の推進、といった具体的方針を掲げている。
このため、まだ十分確立されていない試験法について、引き続き開発を進める必要があるとともに、OECD 等で進められている試験法確立に今後も積極的に協力し、国際的な貢献を行う必要がある。
本業務は、これらを踏まえて、主に魚類、及び無脊椎動物を対象とした各種試験の実施や情報収集、必要な検討を通して、試験法の確立及び影響を評価するため必要な基礎的知見の集積を行い、試験の開発・適正化に向けた取組みを進めるととともに、併せてOECD、日英・日米二国間協等の国際的な取組への貢献に資する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
(1)魚類及び無脊椎動物を用いた試験法開発に係る業務
1)魚類試験法開発に係る業務
1.抗男性ホルモン様化学物質検出のための試験法開発
化学物質の抗男性ホルモン様作用の検出を目的とする幼若メダカ試験について、OECDガイダンスドキュメントとしての承認に向けて、環境省が別途発注する予定の「日英・日米二国間協力及びOECD等への国際協力推進に係る業務」を請け負う機関と検証レポートの作成等の準備を進める。また、幼若メダカ試験の検証で利用されているメダカの系統とは異なる系統での試験実施の可能性について検討を行う。
2.MEOGRT試験(OECD TG240)の改訂に関する検討
わが国および米国が提案し、2015年7月にOECDで採択されたメダカ拡張一世代繁殖毒性試験(MEOGRT、OECD TG240)は、米国環境保護庁(USEPA)の内分泌かく乱化学物質スクリーニングプログラム試験法EDSP 890.2200が更新されていて、統計手法について相違が生じているため、USEPAの担当官などと協議を行い、ガイドラインの改訂について協議してSPSFを提出している。本年度は、OECD試験法承認のためのナショナルコーディネーター会合(WNT)においてSPSFの承認に努めるほか、USEPAの担当者と改訂案について協議を行い、OECDの専門家会合である生態毒性試験法バリデーション管理会合(VMG-eco)において改訂の進行状況を報告し、意見聴取を行う。
3.ゼブラフィッシュ拡張一世代繁殖試験の検証に関する検討
欧州の提案によりOECDにおいてゼブラフィッシュを用いた拡張一世代繁殖試験の試験法(ZEOGRT)の検討が進められており、Phase 2での検証機関の募集を行っている。MEOGRTの開発・検証の実績を踏まえ、魚種間の感受性比較などの基礎的情報を得るため、提案国の提示した手順案に基づいて標準物質を用いて検証をおこなう。
4.魚類胚を用いた内分泌かく乱化学物質検出試験法の検討
欧州などでは、試験法の合理化や動物愛護の観点から、魚類の生体ではなく、胚を用いた試験法の利用が進んでおり、REACTIVアッセイ(Rapid Estrogen Activity Tests In Vivo:卵膜タンパク前駆物質コリオジェニン-GFP遺伝子を導入したメダカ胚を用いた生体を用いた迅速エストロゲン活性検出試験)がOECDにおいて検討されている。本業務では、REACTIVアッセイについて、提案国の依頼に応じて実施した検証試験結果を確認するとともに、専門家の意見も踏まえて必要に応じて追加の実験的検証を行い、提案国に情報提供を行う。
2)無脊椎動物試験法開発に係る業務
1.幼若ホルモン作用のスクリーニング試験法の開発
過年度業務において、幼若ホルモン作用のスクリーニング試験法のプロトコール案を作成し、OECD テストガイドライン化に向け、ノンケミカルストレスの影響を評価する検証実験と、複数試験機関での国内外リングテストを実施してきた。今年度は、専門家から意見があった殺虫剤などの農薬を含めた候補物質について、in silico解析やin vitro試験結果との関係性を考慮しながら試験を実施する。これらの結果について、過年度業務の検証実験結果も含めて取りまとめた検証レポートを作成する。これをOECDの専門家会議に提出し、スクリーニング試験法のテストガイドライン化について、次年度のガイドライン承認会議での承認を目指す。また、EXTEND2016 の枠組みにおいて抗幼若ホルモン様作用物質の検出法がないことから、これまで開発したスクリーニング試験法などを参考にして、幼若ホルモンの生合成阻害作用ならびに幼若ホルモン受容体阻害作用を検出するため手法について引き続き検討を進める。
2.脱皮ホルモン作用のスクリーニング試験法の開発
化学物質の脱皮ホルモン様作用の確認のための第二段階のin vivo 試験法としては、OECD TG211 においてミジンコの脱皮数をエンドポイントとすることが有効であるが、第一段階のスクリーニングを目的とする試験法の確立は定まっていない。化学物質の脱皮ホルモン様作用のスクリーニングを目的とする試験法の確立に向けて、化学物質(2物質程度)を用いて引き続き検証試験を実施する。なお、試験物質については、請負者が、既存知見等を踏まえて脱皮ホルモン様作用が懸念される物質を選定し、専門家の意見を確認した上で、環境省担当官の指示に従い確定する。
3)最新情報の調査収集
内分泌かく乱化学物質に関する最新の国際動向を調査するため、欧米において開催される国際学会等(合計1 回程度)に参加し、現地において必要な情報の収集等を行う。
(2)試験法の確立等に関する検討班会議への報告に係る作業
別途環境省が実施する「令和4年度化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英・日米二国間協力及びOECD 等への国際協力推進に係る業務」において、魚類、及び無脊椎動物を用いた試験法に関する専門家検討班会議を設置し、上記(1)の結果、及び今後のスクリーニング・試験法開発について検討するとともに、成果を評価することを予定している。この会議に提出するための資料を作成の上、電子メール等により「令和4 年度二国間業務」の請負者へ提出するとともに、同会議に出席し、必要に応じて資料に関する説明、質疑応答を行う。
(3)OECD への報告事項に係る打合せの実施
OECD のVMG-eco 会議(令和4年10 月頃)への報告のため、開催するVMG-eco 事前会議に必要な資料を作成・印刷し準備し、参加する。
(4)化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会、国際会議等への報告に係る作業
上記(1)〜(3)について報告を行うため、環境省が別途開催する「化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会」に提出するための資料を作成の上、電子メール等により環境省へ提出するとともに、同検討会に請負者が出席し、必要に応じて資料に関する説明、質疑応答を行う。
OECD の関連会議及び日英二国間会議で環境省が別途指定した専門家が報告することを想定しているため、環境省担当官と調整の上、必要な資料の準備・作成等、報告に係る補助作業を行う。
(5)報告書の作成
上記(1)〜(4)の結果を取りまとめた報告書(A4版、150 頁程度)を3部作成する。
今年度の研究概要
同上
- 関連する研究課題
- 26421 : PJ2_脆弱性を考慮した生態系影響の有害性評価と要因解析に関する研究
- : 環境リスク・健康分野(イ政策対応研究)
- : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)