- 予算区分
- 基盤(C)
- 研究課題コード
- 2224CD009
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- 歴史生態学,汽水域,底生動物,気候変動
- キーワード(英語)
- hitorical ecology,brackish waters,benthic animals,climate change
研究概要
本研究では「海の歴史生態学」の手法を用いて、過去の人間活動と近年の海面上昇が汽水域の環境とベントス群集に与えた影響を評価し、成果を地域の気候変動適応策に実装することを目指す。まず、モデルサイトとする三方五湖の生物と環境に関する地域知・漁業統計・古環境情報等を収集し、歴史生態学データベース(以下、歴史生態学DB)を構築する。次に、このデータベースを活用して、歴史的な人間活動と日本海の海面上昇が水環境とベントス群集に与えた影響を推定する。最後に、研究成果を三方五湖自然再生協議会や地方自治体が実施する気候変動適応策に実装する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
はじめに、生態学的情報を含む地域史料(古文書・古絵図・伝承)に加え、漁業統計や災害史、歴史的潮位資料等の行政文書、古環境学や考古学等の研究成果、古写真等を収集、出典を明記するとともにアップデートが可能な形でデータベース化する。完成したデータベースは、利用を希望する研究者に提供できる形で公開する。次に、上記のデータベースを活用して、歴史的な人為改変(排水路整備・干拓・コンクリート護岸化)と気候変動(日本海の海面上昇・温暖化)が水環境(塩分・溶存酸素濃度)とベントス群集に与えた影響を評価する。特に、過去の人為改変と近年の気候変動の交互作用(例:過去の排水路整備で近年の海面上昇による海水の遡上が促進され、湖内の高塩分化と貧酸素化が促され、ベントス群集が変化)に注目する。以上の研究で得られた成果を三方五湖自然再生協議会や地方自治体が今後、気候変動適応策として実施する沿岸ハビタット再生や河川改修に実装する。
今年度の研究概要
2022年度は漁業統計や災害史、歴史的潮位資料等の行政文書をソースとして歴史生態学データベースを作成するとともに、三方五湖の1つである水月(すいげつ)湖に設定した調査地点において、秋と冬の2回、底生動物の定量採集と環境分析用の試料を採取する予定である。得られたサンプルは実験室内で分析、計数、同定を行う。
外部との連携
宮本康(福井県里山里海湖研究所)、多留聖典(東邦大学)、青木美鈴(WIJ)
課題代表者
金谷 弦
- 地域環境保全領域
海域環境研究室 - 主幹研究員
- 博士 (理学)
- 生物学