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北極海大西洋起源中層水の水温上昇はハイドレートメタン放出のトリガーとなりうるか(令和 4年度)
Relationships between Arctic mid-water temperature variation and seafloor methane hydrate instability

研究課題コード
2124CD007
開始/終了年度
2021~2024年
キーワード(日本語)
北極,北極海,メタン,メタンハイドレート,北極海中層水,放射性炭素
キーワード(英語)
Arctic,Arctic ocean,methane,methane hydrate,Arctic mid-water,radiocarbon

研究概要

北極域の温暖化の進行に伴い海底下のメタンハイドレートの不安定化が懸念されている。メタンハイドレートとは、メタンが海底下で氷状に固まっている物のことで、体積の約160倍ものメタンを含有している。これまで、温暖化など気候変動と関連してメタンハイドレート層からのメタン放出を示す地質学的証拠が世界各地で見つかっているが、北極海においては未だ報告例がない(Cook et al., 2011, Paleoceanogra.)。本研究では、メタン湧出のトリガーは、主に北大西洋起源中層水温の温度上昇ではないか、との仮説を検証するため、過去1万年程度の時間スケールで表・中層水循環の動態、及び表・中層水温度の変動を高時間精度で復元し、メタン湧出とのタイミングについて解析を行う。さらにこれらの結果から、メタンハイドレート不安定化に影響する水温値を求め、過去の地球規模の環境変動記録と比較して、北極海メタンハイドレートの不安定化の原因について地球規模とローカルな要因を検証する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、この仮説を検証するため、微化石のMg/Ca古水温を用いて中層水上から深層水の水温変動を数百年オーダーの時間解像度で復元する。加えて、メタン湧出イベントの正確な絶対年代決定を行うため、植物プランクトン由来有機分子14C年代手法を応用した新たな北極海年代モデルを開発する。

今年度の研究概要

引き続き、アラスカ沖海底コアの年代モデル構築の一貫として、バルク有機物、炭酸塩化石等の14C測定を実施する。

外部との連携

信州大学、国立科学博物館,JAMSTEC

課題代表者

内田 昌男

  • 地球システム領域
  • 主幹研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
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