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環境・まちづくり先進都市に見られる共創的プロセスの記述と後進地域への展開(令和 3年度)
Description of co-creative process found in advanced cities of environment and community development and its deployment to backward areas

予算区分
基盤研究(C)
研究課題コード
2123CD018
開始/終了年度
2021~2023年
キーワード(日本語)
地域デザイン,パターンランゲージ,共創,知識共有
キーワード(英語)
regional design,pattern language,co-creation,knowledge sharing

研究概要

気候変動等の諸問題が顕在化する中で、環境先進都市・まちづくり先進都市(グッド・プラクティス)では、多主体の共創的・漸進的プロセスにより環境と調和した持続可能な地域づくりが実践されている。しかし、共創的・漸進的プロセスを記述する枠組みの未整備により、先進都市の各現場において実践されてきた知見は後進他地域へ展開していない状況にある。本研究では先進都市の共創的・漸進的プロセスに関与したステークホルダーへのインタビュー調査に基づき、それぞれ内的視点から記憶されている課題解決プロセスの特徴的要素を抽出し、近年、課題解決プロセスの記述に適用されているパターン・ランゲージをフレームとして記述・整理する。さらに、パターンを活用し持続可能な地域づくり上の課題を有する地域において参加型デザイン・ワークショップを実施し、その展開可能性を検証する。以上を通じてグッドプラクティスの共創的・漸進的プロセスを解明し、その知見を他地域の持続可能な地域づくりへ展開可能な知識群として示す。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

 本研究では、以下の3つのサブ課題を設定する。
<サブ課題1:先進事例における共創プロセスの調査>
環境・まちづくり先進都市から、3都市分析対象を選定する。まず、文献資料調査により20年程度の経緯を年表として整理するとともに、ステークホルダー間の関係図を作成する。その上で、自治体企画部門を中心として、NPO、住民、地域企業等の各ステークホルダーへのインタビュー調査を実施し、地域において試行錯誤的に積み重ねられてきた意思決定のプロセスを中心とした実態情報を聞き取り、一次資料としてとりまとめる。
<サブ課題2:パターン・ランゲージによる知識記述・構造化>
インタビュー調査結果より、各ステークホルダーの内的視点から、地域づくりのプロセスにおいて、特徴的に現れる課題と解決方法及びそれらの前後情報を整理し、パターン・ランゲージのフォーマットの下でパターンを記述する。空間やインフラ整備に関連するパターンに加え、その背景要因となった計画、政策、コミュニケーションの枠組み等に関連するパターンを含めて抽出する。応募者間の討議に基づきパターンを抽出した上で、ヒアリング対象者からレビューを受けるとともに、全国の自治体企画部門を対象とした活用可能性についてのアンケート調査を実施し、パターンの内容や構造を利用性の観点から修正する。パターンはフィールド調査の進展に応じて更新していき、最終結果を冊子としてまとめる。
<サブ課題3:後進地域展開に向けたデザイン・ワークショップ>
パターンを後進地域の地域特性に応じて組み上げ、持続可能な地域社会への転換プロセスをデザインし、ステークホルダー間で共有するためのワークショップを実施する。ワークショップでは、地域のランドスケープを明確にした上で、各ステークホルダーがそれぞれの視点から記述されたパターンを地域の文脈において具体化していき、地域社会の転換プロセスを相互編集的にデザインし、ボトムアップ的に共有可能なシナリオを見出すことを試みる。
以上のように、グッドプラクティスにおける共創的・漸進的プロセスを、関与したステークホルダーの内的視点から、パターンとして記述し、後進地域の文脈においてパターンを再構成し、地域社会の転換プロセスをデザインすることを通じて、共創による持続可能な地域づくりの原理を構成論的に明らかにする。

今年度の研究概要

環境・まちづくり先進都市から、3都市分析対象を選定し、資料文献調査を実施する。まず、文献資料調査により20年程度の経緯を年表として整理するとともに、ステークホルダー間の関係図を作成する。その上で、3都市から1都市を選定し、自治体企画部門を中心として、NPO、住民、地域企業等の各ステークホルダーへのインタビュー調査を実施し、地域において試行錯誤的に積み重ねられてきた意思決定のプロセスを中心とした実態情報を聞き取り、一次資料としてとりまとめる。その上で、パターンランゲージの枠組みに基づいて得られた知見を整理し、その活用可能性を検討する。

外部との連携

東京大学, 大学院工学系研究科(工学部)

課題代表者

戸川 卓哉

  • 福島地域協働研究拠点
    地域環境創生研究室
  • 主任研究員
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担当者