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個体群の再導入を科学的に実現する完全に遺伝管理したダイトウコノハズクの保全生態学(令和 3年度)
Conservation ecology of Ryukyu Scopus Owl based on the genetic management of reintroduced population

研究課題コード
2022CD027
開始/終了年度
2020~2022年
キーワード(日本語)
再導入
キーワード(英語)
reintroduction

研究概要

ニュージーランドの固有鳥類、日本のコウノトリやトキなど世界各地で鳥類の再導入研究が実施されてきた。しかし科学研究としては問題が多い。コウノトリでは自然分散した野生個体と導入個体が繁殖し遺伝子汚染が生じた。またコウノトリとトキは共に野生繁殖個体の追跡は不完全となった。本研究では沖縄島から約400kmに位置する北大東島に亜種ダイトウコノハズクを南大東島から再導入する。北大東島から約8kmの距離に位置する南大東島には同亜種が約400個体生息している。しかし北大東島では確認記録が約20年来なく繁殖個体群としては50年前に絶滅した。本亜種は非常に高い土地執着性と巣箱営巣、捕獲の容易さ、人的撹乱への耐性の高さから、導入個体と北大東島で巣立つ新規加入個体を確実に追跡することができる。完璧な遺伝的管理下のもと、少数の個体が任意交配が可能な条件下でどのような配偶者選択をするのか、増殖する過程での繁殖成績の変化、近郊弱勢の様相などが明らかになる。本研究は小個体群が維持されるメカニズムを検出し他種・他地域に応用可能な研究となる。私は、本申請課題をベースとして本個体群の動態を長期的に追跡したいと考えている。




研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究は、遺伝的多様性が低下した鳥類の小個体群を遺伝的に管理するための基礎情報を得ることを目的とする。隔離された海洋島に亜種ダイトウコノハズクを再導入する。少数の親個体、その繁殖において生産される世代もすべて完璧に追跡する。新たに成立する個体群内での配偶者選択、近交弱勢の様相、生活史形質など、生態と行動について詳細に解明する。

今年度の研究概要

再導入された個体の組織サンプルからDNAを抽出し、中立遺伝子座における遺伝子型を決定し、MHCなどの適応遺伝子の多様性を評価する。

外部との連携

北海道大学 (研究代表者)

課題代表者

安藤 温子

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士 (農学)
  • 生物学,農学,林学
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