- 予算区分
- 文科省「富岳」成果創出加速プログラム
- 研究課題コード
- 2121KC001
- 開始/終了年度
- 2021~2021年
- キーワード(日本語)
- データ同化,高性能計算,スーパーコンピュータ「富岳」,エアロゾル,温室効果ガス
- キーワード(英語)
- Data Assimilation,High Performance Computing,Supercomputer Fugaku,Aerosol,greenhouse gases
研究概要
近年激甚化する集中豪雨等の極端気象現象からの防災・減災を実現するために、数日程度から数週間〜季節スケールの大規模アンサンブルの気象・大気環境予測実験を富岳を用いて実施し、リードタイムをもった確率予測情報の提供が可能な新時代の予測技術を確立する。
気象災害の原因である集中豪雨や台風を予測するためには、積乱雲等を忠実に表現する高解像度のシミュレーションと、観測ビッグデータを用いて精度を向上させた初期値が不可欠である。さらに、高精度な信頼度(確率)情報が付加されることで災害リスク管理が可能になり、その情報利用価値は飛躍的に高まる。本事業においては、確率予測情報を付加した高精度な数値天気予報のために、日本域および地球全体の高解像度アンサンブルシミュレーションを実施し、気象場に加えて微量気体成分の観測ビッグデータを活用することで革新的な数値気象・大気環境予測技術を実現する。
以上の技術革新のもと、密接な連携協力を行うことで気象庁の「2030年に向けた数値予報技術開発重点計画」の推進を加速する。さらに国家的施策である「気候変動適応計画」で重要となる将来の災害の予測技術向上へ貢献する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
テーマ3「先進的大規模データ同化手法」を主導し、観測ビックデータの活用に加えて、大アンサンブルに着目したデータ同化システムの基盤的研究・開発を進め、気象データと温室効果ガス・大気汚染物質の両方を同時に扱う全球アンサンブルデータ同化システムの研究・開発を行う。全球データ同化システムは局地的な気象災害予測シミュレーション(テーマ1)の外側境界条件を与え、また延長予測システム(テーマ2)の初期値を与えることで、テーマ1・2を繋ぐ役割を果たす。主な研究項目として、(1)積乱雲等をより忠実に表現する高解像度と、より現実に近い背景誤差共分散構造が再現できる大アンサンブルの両方を、全球の同化シミュレーションで実現するグランドチャレンジ実験の実施・解析、(2)ハイパースペクトル赤外サウンダの大気微量成分に感度のあるチャンネルの活用や水同位体比観測データの活用、(3)高解像度、大アンサンブルのデータ同化システムを用いたPM2.5や越境汚染の予測性能向上や二酸化炭素の吸収・排出量の推定精度向上、を進める。
今年度の研究概要
サブテーマ(3)先進的大規模データ同化手法
これまでに開発・最適化を進めた全球アンサンブルデータ同化システムNICAM-LETKFを用いて、気象・大気微量成分の両方を同化した1024メンバーアンサンブルデータ同化実験を実施する。また、水平14kmでの高解像度アンサンブルデータ同化実験を行い、計算結果を「短時間領域スケール予測」「全球スケール予測」で初期値境界値として活用する。エアロゾル・温室効果気体濃度のデータ同化シミュレーションにおいては、低解像度NICAM-LETKFを用いた5-10年スケールの長期実験を実施する。水安定同位体比をトレーサとするデータ同化実験を行い、トレーサ分布と大気モデル内の雲降水過程の評価を行う。
外部との連携
東京大学、気象研究所、海洋研究開発機構、理化学研究所計算科学研究センターとの共同研究
課題代表者:佐藤正樹(東京大学大気海洋研究所)
備考
文科省「富岳」成果創出加速プログラム