- 研究課題コード
- 1921AH003
- 開始/終了年度
- 2019~2021年
- キーワード(日本語)
- 生活由来物質,リスク評価,排出源,網羅分析
- キーワード(英語)
- PPCPs,risk assessment,emission source,comprehensive analysis
研究概要
昨今の化学物質による環境汚染実態解明の研究においては、網羅分析の技術を駆使して環境中に存在する物質を同定する報告事例が増えてきている。そして、同定された物質として医薬品を始めとする生活由来物質が多くを占めている。そのうち、医薬品は特定の受容体等に作用するために製造された化合物のため、微量でも生態に影響を及ぼす可能性が否定できない。本研究では、これらの生活由来物質を対象に国内をフィールドとした汚染実態、そのリスクの評価を進めていく。さらに前述の網羅分析に広く活用されているLC-QTOFMSの機能強化(生活由来物質だけでなくPRTR法や化審法の対象物質を対象としたデータベースの拡充)を通じ、化学物質漏洩事故等の非常時における対応力強化を図る。
研究の性格
- 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
2019年度
1.生活由来物質の汚染実態解明
選定した化学物質群について、標準品の購入、参加機関への配分、分析法を共有したうえで、寒冷期における河川等公共用水域での濃度実態調査を進める。
2.網羅分析技術の構築・強化
親水性物質だけでなく疎水性のある物質まで対応可能な分析カラムを活用し、幅広い性質の物質に対して網羅的に分析可能な条件の検討を進める。
2020年度
1.生活由来物質の汚染実態解明
前年度に引き続き、温暖期における河川等公共用水域での濃度実態調査を進めるとともに毒性情報とを合わせてリスクの評価を進める。
2.網羅分析技術の構築・強化
前年度に検討した分析法を活用してデータベース機能の強化を進めていく。データベースの拡充にあたっては、医薬品等生活由来物質のみでなく、PRTR法の対象物質なども含めて標準物質を分析し、保持時間、精密質量情報等を順次登録していく。また、構築したデータベースをもとに各機関の試料分析も実施する。
2021年度
1.生活由来物質の汚染実態解明
排水試料等を分析し、排出源付近のリスク把握を進める。また、網羅分析で新たに生活由来物質等が検出された場合、分析対象として順次追加する。
2.網羅分析技術の構築・強化
前年度に引き続き、試料の分析、データベースの拡充を進め、化学物質漏洩事故等の非常時における対応力の強化も図る。
今年度の研究概要
昨年度に検討したスクリーニング分析法を活用して国内の各都市域における河川水を採取し、動物用医薬品も含めたスクリーニングを進める。また、過去の研究でも進めてきた有機化学物質のスクリーニングを再度行い、従来の研究で抽出した化学物質のリニューアルを進める。スクリーニングした医薬品等の生活由来物質に対して、正確な定量を行うことで、排出源近傍を含めた地点における水生生物に対する生態リスク評価を実施し、必要に応じて複合影響に関する知見を得る。
外部との連携
地方独立行政法人北海道立総合研究機構 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所、岩手県環境保健研究センター、宮城県保健環境センター、山形県環境科学研究センター、札幌市保健福祉局衛生研究所、埼玉県環境科学国際センター、千葉県環境研究センター、公益財団法人東京都環境公社 東京都環境科学研究所、神奈川県環境科学センター、静岡県環境衛生科学研究所、さいたま市健康科学研究センター、川崎市環境総合研究所、富山県環境科学センター、石川県保健環境センター、京都府保健環境研究所、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所、公益財団法人ひょうご環境創造協会 兵庫県環境研究センター、奈良県景観・環境総合センター、和歌山県環境衛生研究センター、名古屋市環境科学調査センター、大阪市立環境科学研究センター、神戸市健康科学研究所、堺市衛生研究所、岡山県環境保健センター、広島県立総合技術研究所 保健環境センター、福岡県保健環境研究所、尼崎市立衛生研究所
- 関連する研究課題
- 25584 : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)
課題代表者
高澤 嘉一
- 環境リスク・健康領域
環境標準研究室 - 室長(研究)
- 博士 (工学)
- 工学,化学