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脂肪酸結晶と生物膜の複合凝集物を利用した廃油脂混合オンサイトメタン化システム改善(令和 3年度)
Upgrading of on-site methanation system for co-treatment of waste grease using co-flocculation of crystalline fatty-acid and biofilm

研究課題コード
2022CD007
開始/終了年度
2020~2022年
キーワード(日本語)
嫌気性処理,廃油脂,オンサイトメタン化システム
キーワード(英語)
anaerobic treatment,waste grease,on-site methanation system

研究概要

本研究は、商業施設で発生する廃油脂類を原料として利用することでオンサイトバイオガス化施設の規模制約を緩和し、適用範囲の拡大に寄与する技術を開発することを目的とする。廃油脂類を処理する上での課題は油脂の分解過程で生じる中間代謝物の高級脂肪酸である。高級脂肪酸による阻害と代謝速度の遅さが原料としての廃油脂の利用の障害であることから、本研究では脂肪酸からのカルシウム結晶と生物膜の形成が複合的に生じる現象を利用して、両者の解決を図る。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

各年度ごとの実施計画は次の通りである。
2020年度:まず廃油脂のメタン発酵の性能改善における生物膜形成の意義を明らかにすることを目的として、流動担体型のメタン発酵バイオリアクターを作成し、担体なしのリアクターと並行して連続運転実験を行い、その性能を評価する。また、脂肪酸-生物膜複合凝集物の形成再現を目的として脂肪酸カルシウムの冷却晶析の基本的な条件を検討する。
2021年度:脂肪酸-生物膜複合凝集物が、メタン発酵バイオリアクターにおいて形成される条件を明らかにする。また、連続処理を行いながらその凝集物の維持と新形成を実現できるような機械的システムの構築の検討を進める。
2022年度:複合凝集物が充填されたリアクターが、初年度に実施した流動担体型バイオリアクターのように、生物膜式リアクターとしての長所を発揮できるかどうかを、連続運転実験によって確認する。また、高級脂肪酸阻害の軽減の効果も、2020年度の担体なしの通常のリアクターとの比較において評価する。以上を総括して、脂肪酸-生物膜複合凝集物を組み入れたメタン発酵システムの実用可能性を評価する。

今年度の研究概要

廃油脂の利用による商業施設オンサイトバイオガス化システムの導入促進を目的として、生物膜方式と高級脂肪酸不溶化を組み合わせた処理システムを構築する。初年度には生物膜方式の高油分原料のメタン発酵における利点を実験的に明らかにする。初年度は、特に脂肪酸結晶化に伴う阻害軽減と生物膜発達促進を意図する複合凝集物の形成条件を明らかにする。

外部との連携

竹中工務店

関連する研究課題

課題代表者

小林 拓朗

  • 資源循環領域
    資源循環基盤技術研究室
  • 主幹研究員
  • 博士 (工学)
  • 土木工学,生物工学
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