- 予算区分
- TH JST-SATREPS
- 研究課題コード
- 1620TH002
- 開始/終了年度
- 2016~2020年
- キーワード(日本語)
- 有用微細藻類,成長促進画分,樹脂分画
- キーワード(英語)
- highly-valued microalgae,growth promoting fractions,resin fractionation
研究概要
アジアの水産養殖域では急激に増加する食糧需要を受け、過密生産による環境汚染を引き起こされ、余剰餌料や糞尿等の高濃度有機物残渣の蓄積による疾病の発生、漁場の老化が急激に進行している。現在、汚染源となる高濃度有機汚泥の有効な処理プロセスは無く、深刻な水域汚染が進行しており、この非持続的な養殖産業はアフリカなどの途上国でも拡大を続けている。本プロジェクトでは、これら従来の非持続的養殖に代わり、藻類バイオマスの生産を組み込んだ、持続可能な水産養殖システムを構築することで、生物多様性の損失、食糧安全保障に直結する地球規模課題の解決に貢献する。具体的には、マレーシアにおいて(1)有用微細藻類の探索(2)天然成長促進物質の探索(3)新規藻類リアクターの開発(4)栄養塩回収技術・循環プロセスの確立に取り組む。国立環境研究所ではこのうち(2)を担当し、土壌抽出画分を用いた有用藻類の効率的培養・生産手法を確立する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究テーマでは、人工培地では培養困難な有用種を効率的に培養・生産する手法を確立する。
具体的には
1.マレー半島における天然の森林土壌ならびに養殖池汚泥から様々な手法により各種の土壌抽出液を作成し、より効率的な抽出法を検討する。
2.マレーシアセランゴール大学に分画装置とその周辺機器を設置し、非イオン性樹脂(XAD-8もしくはDAX-8樹脂)による分画手法を確立する。
3.各種の土壌抽出液を分画し、様々な抽出画分試料を得る。得られた試料を用いて、有用藻類の培養実験を実施する。得られた結果を比較検討して、有用藻類ごとに天然成長促進作用がある画分を見出す。
4.各抽出画分に対してTOC-SEC法による分子サイズ分布の測定や三次元励起蛍光スペクトル法による蛍光特性の把握等の特性評価を行う。
以上の結果から、天然成長促進画分の特性について情報を取得し、有用藻類の効率的培養・生産手法の確立に役立てる。
今年度の研究概要
前年度までに、いくつかの高い成長促進効果を示す土壌の探索に成功した。今年度も引き続き同様の実験を継続し、残りの他地点で採取した土壌から作成した土壌抽出液を用いて培養実験を行い、より顕著な成長促進効果を示す土壌抽出液を見つけ出す。また今年度は最終年度であることから、これまで収集した土壌抽出液の有機物特性データ、微細藻類の成長促進/阻害に係るデータを整理し、土壌抽出液を用いた有用微細藻類の効率的培養・生産手法の確立に繋げたい。
外部との連携
研究代表機関 創価大学(戸田龍樹)
共同研究機関 東京大学、東京工業大学、プトラ大学、トレンガヌ大学、セランゴール大学(マレーシア)
- 関連する研究課題
- 25107 : 地域環境研究分野
- : 琵琶湖分室
課題代表者
今井 章雄
担当者
-
小松 一弘
-
尾内 秀美