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気候変動に伴う黄砂の発生・輸送に関する変動予測とその検出手法に関する研究(令和 2年度)
Prediction and Detection of Variability in Asian Dust Emission and Transport Affected by Climate Change

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 5-2001
研究課題コード
2022BA003
開始/終了年度
2020~2022年
キーワード(日本語)
黄砂,ライダー,観測ネットワーク
キーワード(英語)
Asian dust,lidar,observation network

研究概要

本研究では「黄砂の発生・輸送状況の監視」「乾燥地地表面植生の実態解明」の3テーマから今後数十年に渡る黄砂の変動に関する研究を実施する。まず監視においては、国立環境研究所(NIES)が東アジア域に展開するライダーネットワークによる発生源近傍から下流域に渡る定量的黄砂観測を継続した上で大気汚染常時監視データ等各国の大気環境モニタリング結果との対比を行い、縮小が進みつつある黄砂目視観測(気象現業)に代わって将来に渡り持続的に利用が可能となる客観的黄砂指標の導出・提案を行う。また過去データを利用して黄砂のこれまでの長期変動を検出する。黄砂の数値モデリングにおいては、気象庁で黄砂予報業務にも利用される全球モデルによる過去から将来に渡る長期計算から黄砂の発生量・輸送フラックスの年々変動などを算出し、実観測や他のモデルとの比較を通じて黄砂の長期変動を引き起こすメカニズムの解明を行うとともに、国内でのPM2.5環境基準超過を引き起こす黄砂の頻度等を見積もる。また地表面サブテーマから得られる植生状況等の情報を取り入れるなどモデル改良を実施し、黄砂の中期予報の改善を行う。乾燥地地表面に関しては、気象条件や社会活動の変化による植生の変動を推定するために、モンゴルにおいて様々な条件下における植生実験を通じてその脆弱性を明らかにし、今後の変動予測に必要なパラメータを取得する。この結果は数値モデルにおいて活用される他、乾燥地における適切な環境管理の提案にも繋がる。これらによって得られる成果は、TEMM傘下の両DSSワーキンググループを通じて三カ国およびモンゴルで共有し、各国での環境行政(発生地の生態系管理を含む)にフィードバックする他、ライダーによる輸送状況の監視は環境省黄砂飛来情報ホームページに対する情報提供、数値モデルの改良は気象庁黄砂予報の直接の改善に繋がる。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

約20地点のライダーネットワークにより黄砂の3次元動態を継続的に観測し数値モデル検証用データを作成するとともに、SPM/PM2.5常時監視データから黄砂を検出する手法について考案し、判定可能率などの利用指標を示す。モンゴル国内で持続可能な簡易型黄砂検出ネットワークを3地点以上で形成するほか、飛砂と大気中ダスト濃度の関係についてサブテーマ3と共同で調査を行う。将来の大気環境におけるPM2.5環境基準非達成に対する黄砂の寄与率をサブテーマ2による将来予測結果をもとに推定する。

今年度の研究概要

主に発生源(モンゴル)におけるライダー装置の性能維持作業を行い持続的な観測を可能とするとともに、過去のライダー観測結果を参照して大気汚染監視システムによるSPM・PM2.5等の結果から客観的黄砂判定手法を導くことを検討する。ライダーの過去データをサブテーマ2における長期計算検証用に提供する。

外部との連携

本研究の「黄砂の数値モデリング」に関わる部分はサブテーマ2として気象庁気象研究所が実施する。また「乾燥地地表面植生の実態解明」についてはサブテーマ3として東京大学・鳥取大学が実施する。

課題代表者

清水 厚

  • 地域環境保全領域
    広域大気研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(理学)
  • 物理学,地学
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担当者