- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1921CD024
- 開始/終了年度
- 2019~2021年
- キーワード(日本語)
- 物質フロー分析,産業連関分析,金属
- キーワード(英語)
- Material Flow Analysis,Input-Output Analysis,Metal
研究概要
持続可能社会の実現手段として循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現が求められている。循環経済をめぐる議論は多岐に渡るが、その定量的基礎として欠かせない全経済的な物質ストック・フローの長期的な挙動を統一的、一般的かつ定量的に捉えた手法は開発されていない。本研究の目的は、多物質・多元素を考慮した動的物質ストック・フロー解析モデルを世界に先駆けて開発し、その実証性をとくに国家備蓄対象となっている鉄鋼合金元素について検証することである。これにより、リサイクルの質、部品リユース、リマニュファクチャリング可能性等を定量的情報に基づいて検討し、循環経済に係る政策立案の支援に資することが期待される。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
多物質・多元素を考慮した動的物質ストック・フロー解析モデルを開発し、その実証性をとくに国家備蓄対象となっている鉄鋼合金元素について検証することを目指して、本年度は以下の課題に取り組む。
【モデル開発】廃棄物産業連関(waste input-output, WIO)を静的枠組みから動的枠組みへと拡張して、それを動的物質ストック・フロー解析モデルMaTrace alloyと統合することによって、多物質・多元素を考慮した動的物質ストック・フロー解析のためのモデルを開発する。準備段階において、動的廃棄物産業連関(dWIO)の数理モデルを開発し、論文として発表した。そこでは、天然資源から生産された粗鋼(転炉鋼を想定)と回収されたスクラップから生産された粗鋼(電炉鋼を想定)の品質がまったく同じであるような鋼種のみを対象とした。多様な分析を可能にするため、転炉鋼と電炉鋼の品質が異なる鋼種も対象に含めたモデルを開発する。
【データベース開発】
合金元素の高効率リサイクルを目指したシナリオ分析に利用可能な、鉄鋼スクラップフローのデータベースを開発する。基礎データの収集を含めると、時間的制約から、データベース開発が困難であるため、これまで実績のある開発手順に倣って、基礎データの収集については外部に委託して実施する。本年度は、委託業務の仕様を決定し、受託業者への指示と調整を経て、暫定版のデータベースを開発する。さらに、暫定版データに産業連関表推計のための最適化手法を適用することにより、残された課題を抽出する。開発するデータベースは、準備段階においてFe、Cr、Niのデータ整備を進めている2011年産業連関表を対象とする。
今年度の研究概要
2019年度は、2011年版産業連関表をもとに、WIO-MFA表の作表に取り組む。
具体的には、5元素の汎用金属(鉄・アルミニウム・銅・鉛・亜鉛)と共に、鉄鋼材料の主要な合金元素であるニッケル・クロムを対象にデータの整備を進める。
外部との連携
代表
近藤 康之(早稲田大学 政治経済各術院、教授)
分担
中村 愼一郎(早稲田大学 政治経済学術院、教授)
大野 肇(東北大学大学院工学研究科、助教)
備考
資源循環プログラムPJ1およびPJ2と連携
課題代表者
中島 謙一
- 資源循環領域
国際資源持続性研究室 - 上級主幹研究員
- 博士(工学)
- 工学,材料工学