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海氷融解期の植物プランクトン分類群の違いは鉛直的な炭素輸送効率に影響するのか?(平成 31年度)
Changes in vertical carbon export efficiency of phytoplankton community composition during sea ice melting season

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1921CD021
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
炭素循環,植物プランクトン,南大洋
キーワード(英語)
carbon cycle,phytoplankton,Southern Ocean

研究概要

春季から夏季の氷縁域で大増殖した植物プランクトンは、沈降過程によって表層で固定した二酸化炭素を中深層へ輸送するとともに、食物連鎖を通じて南極海の豊富な生物量を支えていると考えられるため、南極海の物質循環研究や生態系研究を進める上で重要である。本研究では、耐氷型漂流系に設置した複数のセンサーを用いて、研究の空白域である海氷融解期の植物プランクトン分類群(珪藻類、ハプト藻類、緑藻類など)の変化が鉛直的な炭素輸送効率に及ぼす影響の解明を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、南極海の海氷融解期に大増殖する植物プランクトン分類群の違いが鉛直的な炭素輸送効率に及ぼす影響を解明するため、多波長励起蛍光光度計で得られる、複数の波長で励起させた蛍光強度と蛍光スペクトル形状の違いに基づき、南極海に生息する色素組成の異なる植物プランクトン分類群の識別を可能とする推定モデルを開発する。この推定モデルと漂流系観測で得られた複数深度の蛍光スペクトル特性を解析することで表層から下層へ沈降する植物プランクトン分類群の時系列変化を把握し、従来の検鏡分析では評価できなかった殻を持たない植物プランクトン(ハプト藻類や緑藻類など)の現存量や沈降粒子として寄与を評価する。これらの解析によって、海氷融解期の植物プランクトン分類群の違いが鉛直的な炭素輸送効率に及ぼす影響を解明すると共に、気候変動に伴う植物プランクトン分類群の変化が炭素循環に及ぼす影響を評価する上で、物質循環および海洋生態系に関する研究分野にとって基盤となる定量データの提供を目指す。

今年度の研究概要

本年度は植物プランクトン分類群の識別を可能とする推定モデルの開発に取り組む。
事前準備として取得した2017年度および2018年度の南極研究航海の植物色素サンプルおよび多波長励起蛍光光度計データと2019年度航海で取得する同データ群を使用し、下記の2つの結果を組み合わせて補助色素濃度推定モデルの開発を行う。(1) 高速液体クロマトグラフィ(HPLC)による植物色素サンプル分析の結果を用い、植物プランクトン現存量の指標であるクロロフィルa (Chl a)濃度と補助色素組成から、各植物プランクトン分類群の現存量を定量的に評価する。(2) 植物色素サンプルを採水した際に多波長励起蛍光光度計で同時測定した蛍光スペクトルに対してEOF解析(時系列データに対する主成分分析)を行い、HPLC色素分析で得られる植物プランクトンの各補助色素のChl aに対する濃度比を、EOFスコアを説明変数とした重回帰モデルで定量化する。
また、海氷融解期の植物プランクトン分類群の違いが鉛直的な炭素輸送効率に及ぼす影響を解明するため、2019年度の南極研究航海において投入・回収する耐氷型漂流系に本研究課題で新規購入する多波長励起蛍光光度計を含む複数の光度計を設置することで、複数深度の蛍光スペクトルデータを取得する。

課題代表者

高尾 信太郎

  • 地球環境研究センター
    大気・海洋モニタリング推進室
  • 研究員
  • 博士(環境科学)
  • 生物学,物理学
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