ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

舗装道路表面を新たな反応場として考えるメガシティーの大気環境問題への先駆的研究(平成 31年度)
Pioneer study of atmospheric environment over megacities considering paved road surfaces as new reaction fields

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1819CD002
開始/終了年度
2018~2019年
キーワード(日本語)
メガシティ,舗装道路,反応場,大気環境
キーワード(英語)
megacity, paved road, reaction field, atmospheric environment

研究概要

本研究の目的はメガシティーにおける大気環境問題を舗装道路表面が大気汚染物質の発生源と考え、光化学オキシダントおよびPM2.5の高濃度現象の本質を理解する新たな可能性を提案することである。光化学オキシダントやPM2.5の高濃度問題は、世界中のメガシティーに共通する問題として、これまで限られた成果しかあがっていないのが現状である。その原因として一つ考えられるのは、大気汚染物質の「発生源」の見落としである。そこで、本研究では、見落とされている「発生源」ではなく、見落とされている「反応場」として、メガシティーに大きな面積で存在し、多くの化学物質が沈着していると考えられ、なおかつ大気より高温になるため化学反応が促進される舗装道路表面を新しい重要な反応場として提案する。これを観測とモデル計算によって証明することを本研究の目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究は、1.舗装道路表面にある有機化合物の採取と分析、2.同地点の大気中に存在する粒子状の有機化合物の採取と分析および、3.1.と2.の結果から両者の酸化度合いを比較しボックスモデルで解析する、これらを行うことによってメガシティーにおける舗装道路表面の反応場としての重要性を評価するものである。観測は、世界的にも代表的なメガシティーである東京で行う。本研究では、まず舗装道路表面からそこに沈着している有機化合物を吸引し、フィルター上に採取する装置を作製する。採取した粒子状化学物質については、極性の高い有機化合物に注目して分析を行う。これにより本研究の目的である、「舗装道路表面が大気成分の重要な反応場なのか否か」ということを見極めることができる。具体的な試料分析法としては、試料採取したフィルターを2分割したうえで、それぞれ超純水によって超音波抽出し、一方はベンジルヒドロキシルオキシム-トリメチルシリル二段階誘導体化に基づいた多官能基カルボニル分析法により前処理、もう一方はブチルエステル誘導体化に基づいた低分子ジカルボン酸分析法によって前処理することで、ガスクロマトグラフ-質量分析計を用いた、多官能基カルボニル化合物および低分子ジカルボン酸の分離・分析を可能にする。多官能基カルボニル化合物は、環境中に存在する炭化水素などの有機化合物が酸化分解される過程において、初期の段階で生成する化合物群である。一方、低分子ジカルボン酸は、多官能基カルボニル化合物よりもさらに酸化が進んだ化合物群であることがわかっている。このことを利用して、大気中および舗装道路表面からそれぞれ採取されたフィルター試料に含まれる、ジカルボン酸/カルボニル比から、どちらの試料の方がより酸化されているか、つまり、大気と舗装道路表面でどちらが酸化の進んだ環境であるかを数値として得ることができる。こうした一連の装置作製、観測および試料分析を研究代表者が行う。研究分担者である茶谷主任研究員は、舗装道路表面上で起こる化学反応を再現可能な環境化学ボックスモデルを新たに構築する。このモデルを用いて、上述の観測と試料分析によって得られたデータを入力とすることで、メガシティーの舗装道路表面上で化学反応が起こり、これが光化学オキシダントやPM2.5の生成に関与していることをモデル上で数値として証明する。

今年度の研究概要

実験条件を精査した上で、複数条件におけるVOCの放出量を測定する。その汚染物質濃度への影響を、ボックスモデルと3次元大気質モデルで評価する。

外部との連携

早稲田大学

関連する研究課題

課題代表者

茶谷 聡

  • 地域環境研究センター
    大気環境モデリング研究室
  • 主任研究員
  • 博士(理学)
  • 工学,理学
portrait