- 予算区分
- CE 文科-振興費
- 研究課題コード
- 1721CE001
- 開始/終了年度
- 2017~2021年
- キーワード(日本語)
- 地球温暖化
- キーワード(英語)
- global warming
研究概要
気候変化に対する適応策および緩和策の検討は、全球気候モデルによる将来予測シミュレーションの結果に基づいて行われる。このような気温の予測結果の目安として利用される指標が気候感度である。気候感度とは、大気中CO2濃度が倍増した時に地表気温が全球平均で最終的に何度上昇するかという値を指す。その推定値には幅があり、IPCC第5次報告書では1.5-4.5℃と大きな不確実性があった。気候感度が例えば0.5℃違うだけで、気候変化の緩和コストの見積もりは大きく異なる。そのため、気候感度に関する不確実性の理解と低減は重要な課題である。本研究課題では、気候感度の推定値について不確実性を低減するための科学的知見を得ることを目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
気候感度に関する不確実性を低減させるための方策として、気候感度の推定方法の高度化を行う。高度化は2つの方面から実施する。第1に、気候モデルにおける物理過程の計算方法を高度化するボトムアップアプローチ、第2にエネルギー収支法などの観測データに基づき気候感度を推定する手法を改良・開発するトップダウンアプローチである。
研究1年目は、IPCC第6次報告書に向けた気候変化シミュレーションを実施すると共に、気候モデルにおける雲フィードバックの評価を行い、モデル高度化の方針を検討する。研究2年目は、IPCC第6次報告書の準備を続行する。また、気候モデルを用いたアンサンブルシミュレーションを実施し、雲フィードバックや気候感度に関する不確実性を定量化する。研究3年目は、前年度までに実施した気候シミュレーションの結果を解析し、気候感度推定の精緻化に向けた方策を検討する。研究4年目は、新しく開発された気候モデルを用いて気候変化シミュレーションを実施する。また、開発に伴うモデルの高度化が気候感度の推定値に及ぼす影響を確認する。研究5年目は、高度化されたモデルを用いてシミュレーションと解析を行い、研究成果の取りまとめを行う。
今年度の研究概要
研究3年目に相当する今年度は、前年度に引き続き、気候変化シミュレーションの出力データを解析する。そのことにより、気候感度の不確実性について理解を深めると共に、不確実性の低減に向けた方策を検討する。とりわけ注目するのは、降水量の観測データを用いて気候感度の不確実性に制約を加えることの妥当性である。また、海面水温の上昇が雲の変化を引き起こす仕組みについて、これまでの調査から得られた知見を取りまとめて公表する。並行して、IPCC第6次報告書に向けた気候シミュレーションを前年度に引き続いて実施し、データの公開に向けて後処理を行う。
外部との連携
研究代表者: 渡部雅浩(東京大学)
共同研究機関:東京大学大気海洋研究所、海洋研究開発機構、気象庁気象研究所