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ブラックカーボンおよびメタンの人為起源排出量推計の精緻化と削減感度に関する研究(平成 31年度)
Better quantification of anthropogenic emissions of BC and CH4 in East Asia and cost-benefit analysis of emissions reduction

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 2-1803
研究課題コード
1820BA011
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
短寿命気候汚染物質,衛星観測,インベントリ,社会経済評価,北極評議会
キーワード(英語)
short Lived Climate Pollutants, satellite observation, emission inventry, socio-economic assesment, arctic Council

研究概要

IPCC AR5(第五次報告書)では、CO2のみならず、「短寿命気候汚染物質SLCP」(Short-lived Climate Pollutants:ブラックカーボン (BC)、メタン (CH4)、対流圏オゾンなど、大気中寿命の短いガスやエアロゾル)の温暖化寄与も大きいことが明確に示されている。SLCPの削減からは、短期的な(10-30年)温暖化抑制効果や、北極やヒマラヤなど、気候変化に対し脆弱な地域での不可逆的な変化を食い止める効果が期待されており、国際的な議論や対応が始まっている。IPCC AR6(第六次報告書)では、SLCPがWG1で単独のチャプター「SLCF & Air Quality」として初めて取り上げられる。しかしながら、SLCPの収支や気候影響には依然として大きな不確定性が残っており、効果的な削減対策を見出すためには科学的理解度の本質的な向上が求められている。
本研究では、対象SLCPとしてBC とCH4に注目し、アジア排出量推計の精緻化、削減感度の評価、社会経済的な分析を重点的に行う。具体的には、地上観測の強化に加えて、最新の衛星観測データ(TROPOMI等)を有効活用し、今後打ち上がるGOSAT-2の検証や利用に活かすとともに、独自開発してきたタグ付き全球化学輸送モデルやデータ同化モデルを発展させ、我が国を含むアジア起源の排出量を推計するとともに検証する。また、高度化された排出データと化学輸送・気候モデルを用いて、アジアの発生源別に、大気加熱効果や海氷・雪氷面への沈着を通じた温暖化加速効果を評価する。さらに、政策貢献として、排出に伴う社会経済的な側面の分析を加味し、温暖化を緩和するための合理的な削減パス策定に資する情報をまとめる。その際、BCとCH4の両方を考慮することにより、大気汚染と気候変動の両方に影響する対流圏オゾンへの影響も加味して政策効果を検討する。こうした政策に資する科学的知見をもとに、環境省、IPCC AR6、北極評議会、Climate & Clean Air Coalition (CCAC)など、各種の国際的枠組みに貢献する我が国としての取組みを加速することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

パリ協定のいわゆる「2℃目標」達成のために重要なSLCP として、BC とCH4 を対象とし、アジア排出量推計の精緻化、削減感度の評価、社会経済的な分析を重点的に行う。地上観測の強化に加えて、今年または来年打ち上がる最新の衛星観測データを取り入れ、独自開発してきたタグ付き全球化学輸送モデルやデータ同化モデルを発展させ、我が国を含むアジア起源の排出量を推計するとともに検証する。これをもとに、北極評議会への報告値採用などの公式化に資する科学的知見を提供する。高度化された排出データと化学輸送・気候モデルを用いて、アジアの発生源別に、大気加熱効果や海氷・雪氷面への沈着を通じた温暖化加速効果を評価する。さらに、政策貢献として、排出に伴う社会経済的な側面の分析を加味し、温暖化を緩和するための合理的な削減パス策定に資する情報をまとめ、環境省、IPCC、北極評議会、CCAC などに報告する。その際、BC とCH4 の両方を考慮することにより、大気汚染と気候変動の両方に影響する対流圏オゾンへの影響も加味して政策効果を検討する。
2018年度:化学輸送モデルの拡充・高度化を行い、シミュレーションを開始する。新興油田などからのBC やCH4 の排出を衛星観測で捉えてインベントリに追加し、国別排出量を推計する。独自開発の「アジア国別タグ付きトレーサー法」をBC からCO やCH4 にも拡充する。
2019年度:ボトムアップ法による推計値を、サブテーマ2の観測からの排出量推計値と比較する。BC 削減による放射強制力への感度を求め、場所や高度の違い、季節性を明らかにする。化学気候モデルの専門家と連携して、発生源(国、セクター)別にBC 削減による放射強制力への感度を評価する。
2020年度:国別・セクター別の削減感度のモデル計算実験をまとめ、(サブ2の)観測からの排出検証や(サブ3の)社会経済的な分析に必要な情報を提供する。効果的な発生源対策情報を取得すべく、BC やCH4 に関し、排出部門別のソース・レセプター解析を行う。

今年度の研究概要

化学輸送モデルを用いてボトムアップ型インベントリのアジア国別BC排出量の検証を行い、サブテーマ2の観測からの推計値と比較する。発生源(国、セクター)別のBCの放射強制力の評価を進める。

外部との連携

国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立大学法人東京大学

課題代表者

谷本 浩志

  • 地球環境研究センター
    地球大気化学研究室
  • 室長
  • 博士(理学)
  • 化学,物理学,地学
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担当者