- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) S-14-5
- 研究課題コード
- 1519BA002
- 開始/終了年度
- 2015~2019年
- キーワード(日本語)
- 気候変動,適応,緩和,統合評価モデル
- キーワード(英語)
- Climate Change,Adaptation,Mitigation,Integrated Assessment Model
研究概要
IPCCAR5においても、緩和策と適応策の統合的かつ定量的な評価の実施の必要性が示されている。このような総合的評価には、緩和策と適応策を適切に考慮可能な社会経済および気候シナリオが必須であるが、これまで利用可能なものが存在しなかった。しかしながら、IAMC(統合評価モデリングコンソーシアム)が来年を目処に公表予定であり、そのようなシナリオを用いた総合的な評価が加速されると来される。そこで本研究では、新たなシナリオを利用して、世界全体の温室効果ガス排出量と整合的な緩和策、影響被害(以降、影響被害はプラスの影響も含むものとする)、適応策費用を推計する。具体的には、テーマ2と3から提供される地球規模の気候変動による影響被害および適応策の効果と費用便益に関する情報を利用して、世界全体における温室効果ガスの削減・影響被害・適応策の費用を整合的に推計するための応用一般均衡モデルを開発する。
テーマ5内の連携を以下に示す。
サブテーマ(2):テーマ2と3で開発される全球物理影響評価モデルを応用一般均衡モデルとどのように連携させるかについての理論的・技術的基盤の確立に関する研究を実施する。サブテーマ(3):開発される計量経済モデルを用いて、応用一般均衡モデルに組み込まれている理論やパラメータの妥当性を検討・支援する。サブテーマ(4):国際制度の視点から応用一般均衡モデルを用いた緩和策と適応策の統合評価実施に用いるシナリオ設定(政策仮定)の妥当性について検討を行う。サブテーマ(5):ガバナンスと資金メカニズムの視点から応用一般均衡モデルを用いた緩和策と適応策の統合評価実施に用いるシナリオ設定(政策仮定)の妥当性について検討を行う。
本研究は、世界全体および各国の気候変動緩和策の推進と、結果として残る影響を軽減するための適応策を総合的に比較・評価することが可能であり、我国だけではなく世界の環境政策を科学的に支援できると考えられる。
研究の性格
- 主たるもの:政策研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
世界全体の気候変動の緩和策、影響被害および適応策に関する費用を推計し、今後、気候変動に対してどのような対策を講じていくべきかに関する政策オプション、とりわけ世界全体の温室効果ガスの長期的安定化目標の検討に資する情報を示すことを目標とする。
本研究では応用一般均衡モデル(5(1))を主たるツールとして開発て、1)〜3)で示すように、テーマ・サブテーマ間と連携して研究を推進する。1)気候変動影響を受ける代表的な分野の影響を物理的に表現するモデル(テーマ2・3・5(2))と応用一般均衡モデルのカップリング手法の確立、2)計量経済モデル(5(3))を用いた費用便益分析結果の応用一般均衡モデルへの入力を検討する。従来の応用一般均衡モデルは過去の時系列的な情報を反映した気候変動影響を扱えておらず、それを計量経済モデルで計量する。3)上記で得られた適応策の有効性をより効果的に実現するための国際制度(5(4))、ガバナンスおよび資金メカニズム(5(5))について検討を行う。これらの制度設計は二つの面から検討する。第一にモデル内で資金の移動を明示的に扱いその時の負担と受益を計算するシナリオを示すこと、第二にモデル内で扱える制度は抽象度が高く限定的であるので、それを具体的な制度に落として実際の政策として検討することである。
今年度の研究概要
プロジェクト全体の目標である複数の気候安定化シナリオ、社会経済シナリオ下における緩和策と適応策の総合的な検討(第二弾)を実施する。
外部との連携
環境省環境研究総合推進費 戦略研究プロジェクトS-14「気候変動の緩和策と適応策の統合的戦略研究」の5つテーマの一つである。サブテーマは(1)〜(5)で構成される。サブテーマ(1)、(2)、(4)は国立環境研究所が代表を務め、サブテーマ(3)は東北大学、サブテーマ(5)は森林総合研究所が代表を務める。