- 予算区分
- AH 地環研
- 研究課題コード
- 1719AH001
- 開始/終了年度
- 2017~2019年
- キーワード(日本語)
- 底層DO
- キーワード(英語)
- dissolved oxygen concentration in the lake bottom water
研究概要
日本の湖沼での底層水の貧酸素化は、底生生物の大量死や湖沼水質の悪化を引きおこすことから、わが国の新たな環境基準として底層の溶存酸素濃度(以下、「底層DO」と呼ぶ)が導入された。琵琶湖をはじめとする指定湖沼ではそのモニタリング・管理手法の確立が求められているが、底層Dの評価や対応の検討が困難な状況にある。底層DOを低下させる要因を探るため、底質の酸素消費量(SOD)や底層DO低下に係る主要因を特定することで、具体的な対策へ結びつけることを目標とする。
そのため、本共同研究II型に参画の7機関が担当する複数の湖沼において、底層DOとそれに関連性の深い水質パラメーターの観測網を早急に確立する必要がある。また、底層DOの悪化は高水温時の夏季に集中するため、底層DOのデータロガーを各機関の対象湖沼設置し、水温やpHや酸化還元環境を同時に取得できる多項目水質計も導入して、できるだけ連続した底層の水質観測データの集積を行う。
底層DOを全国湖沼の生態系保全の効果的モニタリング指標として機能させるための測定・評価手法の開発を目的とする。確立した底層DO評価手法を指定湖沼や貧酸素化の深刻な他湖沼に適用し、「底層DO低下がもたらす環境影響のを把握する一方、貧酸素化の発生メカニズムの解析を通して」水質・底質改善策を検討することを目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
底層DOの低下は、その発生場所・頻度、低下割合を正確に予測することは困難である。そこで対象湖沼に底層DOの自動計測機器群を設置することで底層DO低下の全貌を明らかにする。底泥溶出速度からその環境影響を解析するとともに、底層DO低下の発生時期・場所を特定し、貧酸素化のメカニズムを解析する。
本研究成果としては、1)貧酸素リスクのある湖沼での底層DO低下の発生時期・場所に関する情報蓄積、2)底層DO低下時の気象・水温状況、底層DO低下発生場所の特性と底泥・湖水柱の酸素消費量との関係解析、3)底層DO低下場所時の底泥溶出フラックスの算定、4)水質・底質改善策の提示、の以上4成果が期待できる。成果1)と2)から底層DO低下の原因を特定し、成果4)の改善策を行った場合の改善効果を成果3)を活用し評価する。
今年度の研究概要
7県の地環研と連携し、対象湖沼に底層DOの夏季モニタリングシステムを設置する。
昨年度と同様に多項目水質計をつかって対象湖沼の水温や底層DOの面的な情報を取得する。
各湖沼ごと異なる底層DOの低下要因を検証するため、地下水湧水周辺の水質調査を行い、SODが高いと予想される湖沼においては、底泥コア採取によるSOD測定と嫌気化した底泥からの栄養塩回帰特性の解析を行う予定。
外部との連携
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター、茨城県霞ケ浦環境科学センター、福島県環境創造センター、栃木県保健環境センター、宮城県保健環境センター、岡山県保健環境センター、山梨県衛生環境研究所の7県の地環研と連携し、共同研究をおこなう。