- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1719CD001
- 開始/終了年度
- 2017~2019年
- キーワード(日本語)
- PM2.5,大気輸送モデル,大気環境,二次生成粒子
- キーワード(英語)
- PM2.5,Air pollutant transport model,Atmospheric environment,Secondary aerosols
研究概要
PM2.5は代表的な大気汚染物質であり,我が国では越境汚染と国内の都市汚染の複合的な発生源をもつ.PM2.5の時空間分布を精度良く知るためには,観測網の充実に加えて,数値シミュレーションの高精度化が必須である.このような背景下で新しく開発された大気汚染物質輸送モデル(NICAM-Chem)は,領域から全球の空間をシームレスに計算することが可能であり,我が国におけるPM2.5予測モデル精度向上に役立てることができる.本研究課題では,NICAM-Chemの更なる発展のため, PM2.5の二次生成成分である硝酸塩や有機炭素に関するモデル精緻化を行い,我が国周辺のPM2.5予測精度向上だけではなく,全球高解像度計算やデータ同化などに応用できるモジュール開発を目指す.
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
平成29年度は,NICAM-ChemによるPM2.5シミュレーションのための実行条件を整備し,比較検証に必要な観測データも収集する.対象は日本を含んだ東アジアだが,観測データの不足に備えて,欧米でのシミュレーションも検討している.これらと同時に,NICAM-ChemにPM2.5の二次生成成分である硝酸塩・SOAを計算するためのモジュールを組み込む.平成30年度以降は,新しいモジュールを組み込んだモデルを実行し,平成29年度に収集した観測データや他のモデル(WRF-CMAQ)との比較を行い,モデル性能を調べる.モデル比較結果は双方のモデルに反映し,我が国のPM2.5のモデル予測精度向上に繋げる.改良した新しいモデルプログラムは全球計算やデータ同化計算にも役立てる.成果はホームページで公開し,研究成果発表も定期的に行う.
今年度の研究概要
平成29年度に準備を行ったNICAM-ChemによるPM2.5シミュレーションのための境界条件等の入力データを用いて標準実験を行い,モジュール改良版との比較のための出力データを作成する.並行して,二次生成粒子の生成過程の精緻化を進めるために,特に硝酸塩や有機炭素エアロゾルの新しいモジュールを組み込むことで,PM2.5の空間分布の変化に注目したテスト実験に着手する.実験はストレッチ格子法によって東アジアを対象とした領域実験を行うが,モジュールが全球規模計算においても不具合が生じないことを確かめるために,全球対象実験も行う.以上のような段階を経て,モジュールの正常な稼働が確かめられた後,本番実験にも着手する.得られた結果は可能な限り,学会等で発表を行う.
- 関連する研究課題
課題代表者
五藤 大輔
- 地域環境保全領域
大気モデリング研究室 - 主幹研究員
- 博士(理学)
- 化学,物理学