- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1617CD004
- 開始/終了年度
- 2016~2017年
- キーワード(日本語)
- 太陽プロトンイベント,オゾン層,気候,化学気候モデル
- キーワード(英語)
- solar proton event,ozone layer,climate,chemistry-climate model
研究概要
太陽活動に伴う上層大気から下層大気へまたがる一連の影響プロセスは、高度間でその物理・化学的な状況がかなり異なっていることによって、簡単な式で表現することが難しく、確固たる科学的知見として理解されているわけではない。しかしながら、近年の化学気候モデルの発展によってその数値実験と複雑なプロセスの理解が可能になってきた。本研究では、この理解が未だ不十分な太陽活動の下層大気・地表への影響について、詳細な化学反応過程を導入した化学ボックスモデルと3次元化学気候モデルを併用した数値実験を行い、起こりえる大気微量成分濃度変化や気候の変化を観測事実と照らし合わせて検証し、そのプロセスを明らかにする。これによって宇宙から下層大気までを一体としてとらえる研究の先駆的な一例となることを目指す。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
平成28 年度
2003 年10 月27 日〜11 月6 日にかけて起こった太陽プロトンイベントについて、上記2つのモデルを用いた計算を行う。3 次元化学気候モデルの計算では、客観解析データの風速と気温データをモデルに同化し、計算されたオゾン濃度や硝酸濃度をHALOE やMIPAS 等の衛星観測データと比較してモデルの検証を行う。
平成29 年度
過去200 年間に起こった太陽プロトンイベントの中でも最大級とされるキャリントンイベント(1859 年)についての、化学ボックスモデルと3次元化学気候モデルを用いた計算を行い、オゾン濃度の変化を介した下層大気および気候への影響についての解析を行う。
今年度の研究概要
今年度は、総数608の化学反応を導入した化学ボックスモデル(化学気候モデルで取り扱う中性反応や光解離反応の他、放射線過程、イオン反応、イオン再結合反応、イオン分子の中性分子との反応等を含む)を使って、ハロウィーンイベント中のNOx生成率をより精密に計算し、それを3次元化学気候モデルに与えてオゾン濃度変化の3次元分布の計算を行う。また、過去200年に起こった太陽プロトンイベントの中でも最大級とされる1859年のキャリントンイベントについてのシミュレーションを行う。
外部との連携
本研究は、文部省科学研究費補助金・新学術領域(研究領域提案型)「太陽地球圏環境予測: 我々が生きる宇宙の理解とその変動に対応する社会基盤の生成」領域代表: 草野完也・名古屋大学宇宙地球環境研究所・教授の公募研究として実施するものである。
連携研究者: 望月優子(理化学研究所)、中井陽一(理化学研究所)
- 関連する研究課題
課題代表者
秋吉 英治
- 地球システム領域
気候モデリング・解析研究室 - シニア研究員
- 博士 (理学)
- 物理学,地学,コンピュータ科学
担当者
-
今村 隆史