- 予算区分
- AQ センター調査研究
- 研究課題コード
- 1620AQ039
- 開始/終了年度
- 2016~2020年
- キーワード(日本語)
- 大気微小粒子,PM2.5,有機指標成分,CMB,誘導体化GC/MS
- キーワード(英語)
- atmospheric fine particles, PM2.5, organic markers, CMB, derivatization-GC/MS
研究概要
自動車や工場などの大規模発生源の排出削減によって,大気微小粒子に及ぼす二次生成粒子や自然起源粒子の寄与が増加してきた。有機物を主体する粒子(有機粒子)は,一次粒子・二次粒子の大きな割合を占めるにもかかわらず,その起源や動態の解明が遅れている。本研究では,大気微小粒子に含まれる一次及び二次の有機指標成分(発生源の指標となる有機成分)を測定し,ケミカルマスバランス(CMB)法等による解析を行い,その起源や環境動態に関する知見を得ることを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
大気中の微小粒子(PM2.5)に対する世間の関心が近年高まっているが,環境基準の達成率は3割程度と低く,PM2.5の発生源や挙動を明らかにすることが求められている。PM2.5の発生源寄与率は粒子中の化学成分を測定し,ケミカルマスバランス(CMB)法などの統計的手法を用いることで推定することができる。野焼きや二次有機エアロゾル(SOA),調理など,有機物を主体とする発生源に関しては,各発生源の特徴ある有機成分(有機指標成分)を測定し,それに基づくCMBを適用することが有効であるが,日本においては,そのような測定や解析事例は非常に限られている。また,CMB等の起源解析においては,有機指標成分の環境中での安定性,SOAの寄与をどう推定するか,発生源プロファイルをどう作成するかといった課題がある。本研究では,まず有効な有機指標成分の選択と有機指標成分測定のための誘導体化GC/MS法を確立する。そして,各種発生源(自動車,SOA,野焼き,調理等)の測定を行い,発生源プロファイルを作成する。さらに大気試料の測定とCMB解析によって,有機粒子やPM2.5に対する各種発生源の寄与率と推定精度を明らかにする。
今年度の研究概要
大気中や各種発生源から排出される微小粒子(PM2.5)中の有機指標成分を測定するための手法(誘導体化GC/MS法)の最適化と対象成分の拡張を行う。稲わら等の野焼きのマーカーであるレボグルコサンの大気中での安定性を,大気観測に基づき評価する。関東郊外における秋季の日ごとPM2.5試料に含まれるレボグルコサン等を測定し,野焼きの影響の大きさと日々の変動を評価する。
- 関連する研究課題
課題代表者
伏見 暁洋
- 地球システム領域
地球環境研究センター - 主幹研究員
- 博士(工学)
- 工学