- 予算区分
- LA 共同研究
- 研究課題コード
- 1419LA001
- 開始/終了年度
- 2014~2019年
- キーワード(日本語)
- モンゴル,気候変動,CO2吸収量,エネルギー生産,二国間クレジット制度
- キーワード(英語)
- Mongolia, Climate Change, CO2 Sequestration, Energy Production, Joint Crediting Mechanism (JCM)
研究概要
モンゴルでは、気候変動の影響が永久凍土層の融解と土壌水分の喪失、干ばつによる草地の劣化として表れており、草原環境の急速な悪化が懸念されている。モンゴルの実情に合わせて地域全体として効率のよい低炭素システムを設計・提案し、これにより地域レベルでのエネルギー起源二酸化炭素削減につなげ、気候変動の緩和と適応の統合的な取り組みが必要である。低炭素システム導入に伴うエネルギー起源二酸化炭素削減効果を基にした二国間クレジット制度(JCM)を推進するに当たっては、二酸化炭素等の削減効果を確認する把握検証手法(MRV)を確立するため、平成26年度から「二国間クレジット(JCM)推進のためのMRV等関連するモンゴルにおける技術高度化事業」という環境省の委託業務が開始した。この事業は(学)中央大学をはじめ、国立環境研究所、(株)日立製作所、(学)慶応大学SFC研究所、(社)海外環境協力センターおよび(株)日本総合研究所などと共同で実施し、そのうち、国立環境研究所がモンゴル全土の草原域の二酸化炭素(CO2)吸収量の評価を担当する。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
モンゴル全土の草原域の二酸化炭素吸収量の把握を行うため、温室効果ガスの地上観測データを収集したデータベース、及びMODIS衛星等の観測データを収集したデータベースを作成し、これらのデータベースを用いて、陸域生態系の炭素吸収量の地理的分布やその変動を推定する。また、モンゴルの森林・草原凍土地帯に設置している2基(DavaatとNalaikh)のモニタリングサイトでの観測データを用いて生態系モデルの精度を検証し、検証された生態系モデルを用いて、実証サイトを含むモンゴルの陸域生態系における炭素収支の時空間分布を推定する。さらに、モンゴルの石炭生産および電力生産には水資源が制約となる可能性がある。このため、石炭及び電力生産に伴う水資源消費量を定量的に把握可能な水需要インベントリーを構築し、エネルギー生産による水需要及びエネルギー消費に伴うウォーターフットプリントを導出し、水資源への影響評価を行い、また水資源消費の変化が草原へ与える人為的な影響評価についても検討する。
今年度の研究概要
まず、モンゴルの首都ウランバートル近郊(Nalaikh)の牧草地及び都市の影響が少ない典型的草原生態系(Hustai)において、それぞれ温室効果ガスCO2フラックス測定システムを利用し、現地でのモニタリングを継続すること。また、草原生態系のCO2純吸収量を推定するため、土壌の種類及び有機物含量などのデータを収集し、土壌からのCO2呼吸量の測定を行う。衛星データ解析システムを用いてMODISなどの衛星データの高次処理を行い、解像度1?メッシュで植生による炭素吸収量の分布動態を推定し、GOSATによる地表面での排出吸収量と比較・検討を行うこと。さらに、文献調査、専門家へのヒアリング及び現地調査等により、エネルギー生産の水需要の一国モデルを地域モデルへ精緻化し、エネルギー生産(電力等)が地域水資源へ与える影響を考察すること。そのため、観測システムの維持保守とデータ回収およびステークホルダーとの打ち合わせおよびヒアリングのため、現地調査を行う。
外部との連携
(学)中央大学研究開発機構、(株)日立製作所、(学)慶応大学SFC研究所、(社)海外環境協力センター、(株)日本総合研究所、モンゴル科学院地理研究所
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