- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1416CD026
- 開始/終了年度
- 2014~2016年
- キーワード(日本語)
- 放射性炭素
- キーワード(英語)
- Radiocarbon
研究概要
放射性炭素(炭素14)は、年代測定のみではなく、炭素の動態解析に有用な指標であり、大気や陸水・海水等の環境試料の分析が行われている。炭素14分析値のコンセンサスを得るための国際的な相互比較のプログラムは、これまで固体試料を対象とした年代測定に主眼がおかれて実施されており、環境試料についての比較が不十分である。水試料は、大気等のガス試料とは異なり、炭素14分析に到るまでの前処理として、やや複雑な化学処理を行うが、統一された手法が用いられている訳では無い。そこで、本研究では、水試料の前処理手法によって、炭素14の分析値に違いがないことを確認し、各手法の特徴を抽出することを目的として、複数の研究機関、分析機関が参加した相互比較プログラム、RICE-W(Radiocarbon Intercomparison on Chemical Experiments, Water series)を実施するものである。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
本研究は、配布する比較試料の均一性を担保するための基礎検証、前処理手法による分析値の違いや手法そのものの特徴について検討するための複数機関による相互比較、成果の発信の3段階にわかれる。基礎検証では、試料の経時変化が起こらないようにするための条件として、生物活動の影響と容器の保存性について検討する。相互比較では、分析装置を持つ機関では炭素14分析までを、前処理のみ可能である機関では試料からの二酸化炭素ガス抽出までを実施して、炭素14分析は代表者・分担者が実施する。分析結果をもとに、試料の塩濃度や炭酸濃度、化学組成により、どの手法が適しているのかについて解析を行う。放射性炭素のコミュニティに対して、国際会議における発表や論文公表を行い、本研究の国際的な認知を得る。このことは、本プログラムが国内の相互比較のみで終了してしまうのか、国際的な相互比較へ発展できるのかの分水嶺となる。
今年度の研究概要
平成27年度に作製した相互比較試料を、国内外の協力機関(研究機関及び分析機関)に配布して、各自で炭素14測定のための前処理を実施する。返送されてきた二酸化炭素ガス試料をグラファイトに還元した後、加速器質量分析装置(AMS)で試料中の炭素14濃度を測定し、試料の塩濃度や炭酸濃度、化学組成により、どの手法が適しているのかについて解析を行う。
外部との連携
共同研究機関:産業技術総合研究所(課題代表者: 高橋浩)、名古屋大学
- 関連する研究課題
課題代表者
荒巻 能史
- 地球システム領域
物質循環観測研究室 - 室長(研究)
- 博士(地球環境科学)
- 化学,地学,水産学