- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) 5-1607
- 研究課題コード
- 1618BA005
- 開始/終了年度
- 2016~2018年
- キーワード(日本語)
- 二次生産,一次生産,微生物群衆,溶存有機物
- キーワード(英語)
- secondary production, primary production, microbial community, dissolved organic matter
研究概要
琵琶湖では、透明度の上昇や栄養塩濃度の低下が経年的に見られ、富栄養だった水質が改善されつつある。一方、琵琶湖の漁獲量は1990年代以降で減少傾向にあり、水質改善によって期待されていた在来生物群集の賑わい(「生き物の賑わい」)は戻っていない。近年水産関係者からは、アユの餌不足も指摘されるようになり、食物連鎖における下位生物の生産量やそれを支える栄養塩や有機物の考慮が求められている。本研究では、一次生産、細菌生産、動物プランクトンの生産に関する知見を蓄積して、各生物間の関係性を概念的にまとめる。併せて、実際の行政ニーズに応えるため、琵琶湖の湖沼水質保全計画において、湖内生産量を明示して、有機炭素ベースでの湖沼水質保全計画の策定を提案することを到達目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
一次生産量や細菌生産、動物プランクトンの生産量などを実測してデータを蓄積するとともに、将来の生態系モデルの高度化に向けて、各生物間の関係性を把握する。得られた成果より一次生産、細菌生産、動物プランクトン生産の各生物間の関係性を概念的にまとめるとともに、湖内生産量を明示した有機炭素ベースでの湖沼水質保全計画の策定を提案する。
サブテーマ3:細菌生産の定量的解析
細菌生産(二次生産)の琵琶湖での測定条件を確立し、季節、地点、深度方向等の二次生産の分布を明らかにすると共に、二次生産を行っている微生物群集の解析、二次生産に寄与している有機物の由来・特性を明らかにする。
2016: 細菌生産(二次生産)の琵琶湖での測定条件を確立し、有機物の由来に関する情報収集に着手する。
2017: 各季節、地点、深さ方向に於ける二次生産測定を行うとともに、現地環境因子、一次生産、細菌数との関連を解析する。
2018:二次生産を担っている細菌群集構造をDGGE解析及びクローニング解析により行うと共に、二次生産に寄与している溶存態有機物(DOM)の分子サイズ及び三次元蛍光測定による特性評価を行い、二次生産に及ぼす環境因子の影響を評価する。
今年度の研究概要
分担者らが開発した、[15N5]‑2′‑deoxyadenosine(15N-dA)と液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリー(LC-MS)を用いた二次生産量測定法(安定同位体法)はRIを必要とせず、日本国内の水界に適応が可能である。本研究では本手法を琵琶湖に適用して、二次生産量を実測する。まず、海洋環境・富栄養湖沼に於いて確立した手法を貧栄養で易分解有機物が低濃度の琵琶湖環境に適応するために、反応時間・添加15N-dA濃度の最適化を行い、最適化された条件で琵琶湖に於ける細菌生産の測定を開始する。二次生産測定時にpH、水温、溶存酸素、光環境等の環境因子の測定と同時にクロロフィル蛍光を用いた手法で一次生産を測定し、実環境に於ける一次生産と二次生産の関連についてのデータの収集を開始する。
外部との連携
研究代表者:早川和秀(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)
共同研究者:佐藤祐一, 岡本高弘, 永田貴丸(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)後藤直成(滋賀県立大学)、中野伸一, 程木義邦(京都大学生態学研究センター)
課題代表者:今井章雄
課題代表者
今井 章雄
担当者
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冨岡 典子地域環境保全領域
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佐野 友春
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小松 一弘