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妊娠期ヒ素曝露によるF2肝腫瘍増加機序解明のための精子の網羅的DNAメチル化解析(平成 28年度)
Genome-wide DNA methylation analysis of sperm to explore the mechanism of hepatic tumor augmentation in the F2 by gestational arsenite exposure of F0 pregnant female

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1516CD003
開始/終了年度
2015~2016年
キーワード(日本語)
継世代影響,妊娠期曝露,ゲノムワイドDNAメチル化解析,ヒ素
キーワード(英語)
transgenerational effects, gestational exposure, genome-wide DNA methylation analysis, arsenic

研究概要

申請者らは最近、妊娠中の母マウス(F0)への一過的な無機ヒ素投与によって、孫世代(F2)の雄で成長後に肝腫瘍が増加するという新規な現象を発見し、さらにF2の腫瘍増加の原因はF1雄にあることを明らかにした。そこでヒ素によるF2肝腫瘍増加の成因を探るために肝臓での各種解析を進めているが、継世代影響の全体像を解明するためには生殖細胞での変化を明らかにすることが必須である。本研究では、F1精子DNAメチル化について次世代シークエンスによるゲノムワイドな解析を実施し、妊娠期ヒ素曝露によって変化を受ける領域を明らかにする。この成果をもとに今後生殖細胞から肝臓にエピジェネティック変化がいかに伝わるかが検討可能となり、化学物質のF2作用の分子メカニズム研究が大きく進展する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

環境化学物質の継世代影響の全体像を明らかにするためには、生殖細胞での変化をとらえることが必須である。本研究では無機ヒ素の妊娠期曝露によるF1雄の生殖細胞でのエピジェネティック変化を分子レベルで明らかにしていくための手がかりとして、F1精子のDNAメチル化に着目する。次世代シークエンシングにより最新の方法で詳細なDNAメチル化解析を行い、ヒ素群F1の精子で特異的にDNAメチル化が変化する領域を明らかにする。

今年度の研究概要

今年度は次世代シークエンスを完了し、データ解析を行う。取得したデータについて、統計ソフトR上でmethylkitパッケージおよびedmrパッケージを用い、妊娠期ヒ素曝露によってF2でメチル化が変化したシトシン(DMC)および領域(DMR)を検出する。特に遺伝子発現の制御に重要と考えられる転写開始点±2000 bpの領域等をLinux上でbed tools closestを用いて検出し、解析を進める。上記の解析で得られた結果について、qMSPやPyrosequence 等の方法でvalidation を行い、妊娠期ヒ素曝露によってF1精子で影響を受けるDNAメチル化領域を明らかにする。
本研究によって、妊娠期ヒ素曝露によるF2肝腫瘍増加メカニズムの解析を進めるための重要な知見を得ることができる。

外部との連携

共同研究者:秦健一郎、中林一彦(国立成育医療研究センター)

課題代表者

野原 恵子

担当者