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水銀廃棄物の環境上適正な長期的管理のための埋立処分基準の提案(平成 27年度)
Proposal of Disposal Standard for Long-term Environmentally-Sound Management of Mercury Waste

予算区分
BE 環境-推進費(補助金)
研究課題コード
1517BE004
開始/終了年度
2015~2017年
キーワード(日本語)
水銀廃棄物,最終処分,環境上適正な管理
キーワード(英語)
Mercury waste, Final Disposal, Environmentally-Sound Management

研究概要

 水銀に関する水俣条約の採択を受けて、我が国でも水銀を含む廃棄物の適正な管理方法を確保する必要に迫られている。特に、条約の発効により水銀の用途が大幅に制限されることで、これまで有価物として取引されてきた金属水銀や、水銀回収の対象となっていた水銀含有物が、余剰となり行き場を失うことが懸念されている。こうした潜在的な水銀廃棄物が環境汚染源とならないよう、安全で適正な長期管理方法について早急に検討する必要がある。我が国ではこれまでに、既存の廃棄物管理の枠組みの中での適正な水銀廃棄物の管理方法の構築が検討されてきている。その中には、廃金属水銀の特別管理産業廃棄物としての指定と処理基準の策定、水銀を含む産業廃棄物の「水銀含有廃棄物」としての取り扱い等、多岐にわたる。特に、環境放出時の健康影響リスクが高いと考えられる廃金属水銀については、安定化・固型化による移動性の低下と、最終処分による長期的な管理を指向した検討が必要である。また、数%程度の濃度で水銀を含む廃棄物については、通常の有害廃棄物と同様に、溶出試験結果に基づいて遮断型または管理型処分場に投棄されることになる。以上のように、含有濃度や処分先が異なる水銀含有廃棄物の長期的な環境安全性を担保するための処分基準の確立に向けた包括的な検討を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

 水銀廃棄物の長期的な環境安全性を確保するための適正管理方策を提案する。現在資源として流通している金属水銀から、現在は市中退蔵品となっている潜在的な水銀含有廃棄物までを対象として、適正な安定化手法と最終処分場の維持管理方法について技術的な検討を行う。水俣条約で規定されている「安全で適正な管理のための国内体制の整備」を念頭に置いた上で、水銀廃棄物管理における長期的な環境放出挙動を評価するとともに、環境上適正かつ安全な管理が達成可能な方策について、最終処分基準案としてとりまとめる。

今年度の研究概要

(1)水銀廃棄物の長期環境安全性を確保する中間処理方法の評価に関する検討
水銀を含む廃棄物の安定化・固型化物の埋立処分を想定した長期的な安定性の評価を実施する。環境省告示5号に基づくコンクリート固型化物について埋立物としての安全性を評価するとともに、埋立処分基準に反映可能な検定方法以下の検討を行う。特に、水等の液状溶媒と固形化物の接触比率が少ない(低L/S)条件下における水銀溶出・揮散挙動に関するパラメータを取得する。対照としての廃金属水銀の硫化体、硫黄ポリマー固型化物、低アルカリセメント固型化物等の処理物に対しても同様の検討を実施する。
(2)水銀廃棄物の長期環境安全性の確保を可能にする最終処分方法の検討
水銀廃棄物を管理型処分する際の水分浸透の防止措置および放出水銀の移動抑制措置について検討する。表層の覆蓋および雨水浸透防止層の効果について、使用する素材・施工条件ごとに性能を評価する。また、水銀廃棄物の処理物を単独埋立する際の充填材料が、水銀の放出や収着に関与するメカニズムについて評価する。
(3) 中間処理物からの水銀の放出・移動性に影響を与える埋立地環境に関する検討
管理型処分場における水銀廃棄物の単独埋立、およびその他の廃棄物との混合埋立を想定し、埋立地内において水銀の放出挙動に影響を与える因子とその機構について明らかにする。100年程度の埋立処分を想定した長期的な模擬埋立実験を実施し、水銀の可溶化、ガス化および移動性について、化学的形態の変化も考慮した上で検討する。長期的な処分場安定化に伴う埋立層内雰囲気の変化が水銀の流動性に与える影響についても検討する。
(4) 埋立地内における水銀化合物の化学・生物学的変換機構の解明
埋立地内の環境条件・雰囲気下における硫化水銀およびその他の水銀化合物の化学的形態の変換の機作について検討し、移動性の高い元素態ならびに有害性の高い有機態の水銀に至る変換経路と反応速度を明らかにする。特にメチル水銀等の有機水銀への変換メカニズムの解明とその防止策を提案するとともに、現場での検出手法の開発を試みる。
(5) 長期的な安全管理のためのシミュレーションモデルによる評価
水銀廃棄物の処理・処分における、長期的な環境安全性能を評価するための数値計算モデルの開発をすすめる。水銀の溶出・揮発、化学形態の変換、吸脱着・移動現象の素反応ごとにパラメータを得るとともにモデルの基礎構造を構築する。

外部との連携

立命館大学、北里大学、京都大学、東京工業大学、福岡大学

課題代表者

石垣 智基

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 上級主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 生物工学,工学,化学工学
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担当者