- 予算区分
- BE 環境-推進費(補助金)
- 研究課題コード
- 1516BE001
- 開始/終了年度
- 2015~2016年
- キーワード(日本語)
- 災害廃棄物,有機炭素含有量,強熱温度,自然発火
- キーワード(英語)
- Disaster waste, Organic carbon content, Temperature on ignition loss, Spontaneous combusition
研究概要
災害廃棄物や津波堆積物由来の分別土には木くずや微少粒径の有機物が混入しており、その腐敗性等の理由から有効利用の妨げになっている。現在、強熱温度600℃減量値にて有機炭素含有量が判定されているが、600℃の強熱減量では有機物の他に土壌や石膏、カルシウム系化合物の結合水や結晶水も同時に揮発してしまうため、有機炭素含有量を過大評価している。土壌のみの600℃強熱減量値も数%となる。災害廃棄物の処理物である分別土の適正かつ合理的な有効利用を推進し、復興資材として利用される出口戦略を明確化するのであれば、正確・簡便かつ迅速に有機炭素含有量を把握すると同時に、含有有機物による環境影響を把握した上で、利用上許容される有機炭素含有量の閾値を決めることが求められる。さらに、多量の有機物を含有する場合、自然発火危険性も考慮する必要が出てくることから、実大規模の蓄熱発火ならびに浸透水水質の模擬土槽試験を実施し、評価結果を検証する。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
サブテーマ1:低有機炭素含有物に対する評価
災害廃棄物由来の分別土における有機炭素含有量の迅速かつ簡易な測定方法を提案するため、各種の分別土(津波堆積物由来も含む)と平常時の建設混合廃棄物ふるい下残さ、土壌(有機質土を含む)、人工的に作成した分別土(木くずを添加)などを用いた強熱減量試験を網羅的に実施する。強熱温度を150〜750℃、強熱時間を10〜360分の範囲で質量減量値を把握し、実際の有機物炭素含有量との比較を行う。
サブテーマ2:高有機炭素含有物に対する評価
従来、発火危険性は、発熱開始温度(C80試験)、自然発火温度(SIT試験)、発熱量(TAM試験)と、水素ガス発生量によって総合的に評価されてきた。発火危険性が極めて小さい場合、有機炭素含有量によって危険性を表現できる可能性があることから、発火危険性のスクリーニングの適否について検証する。また、危険性の大小2種類(有機炭素含有量の大小2種類)の試料を用いて、実大規模の蓄熱火災ならびに浸透水水質の土槽実証試験を実施する。
今年度の研究概要
サブテーマ1:低有機炭素含有物に対する評価
岩手県、宮城県で発生した災害廃棄物由来の分別土、関東圏で発生した建設混合廃棄物由来のふるい下残さ、有機質土や関東ローム、川砂などの土壌、真砂土を母材としてドロマイトやスメクタイト、木くずを混入させた人工分別土の約15種の内、約10種について、強熱温度150、250、350、450、600、750℃、強熱時間10、20、30、60、120、360分の強熱減量値、強熱前後のCHN含有量、固体TOCを把握する(約360検体)。また、汚濁成分溶出量、ガス発生ポテンシャル試験を実施する。沈下特性を把握するため、分別土を用いて高温下の長期圧縮試験を開始する。
?サブテーマ2:高有機炭素含有物に対する評価
約10種の試料(サブテーマ1と同じ試料)を用いて、熱重量−示差熱分析(TG-DTA試験)、固体TOC、発熱開始温度(C80試験)、自然発火温度(SIT試験)、発熱量(TAM試験)分析を行って自然発火危険性判定を行う。同時に、強熱減量値による評価との関係性について検証する。蓄熱火災ならびに水質汚濁性を評価するための実大規模の土槽を構築し、気象、槽内温度、水質、ガス質のモニタリングを開始する。
外部との連携
千葉科学大学、立命館大学、長崎大学、工学院大学、消防大学校消防研究センター
課題代表者
遠藤 和人
- 福島地域協働研究拠点
廃棄物・資源循環研究室 - 室長(研究)
- 工学博士
- 土木工学,材料工学