- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1517CD019
- 開始/終了年度
- 2015~2017年
- キーワード(日本語)
- 地盤環境,土壌汚染,溶出試験,標準化
- キーワード(英語)
- geoenvironment, soil contamination, leaching test, standardization
研究概要
本研究は、科学的根拠と社会受容性に基づき、新しい“地盤環境基準”の構築と実装を目指す融合研究である。具体的な内容としては、(1)ある地盤中に含まれる有害物質の“環境受容性”を判断するための、新たな指標・試験方法を科学的根拠に基づき構築するとともに、(2)管理/保管/有効利用のシナリオ構築と環境安全性の評価を行い、新たな管理・循環体制を構築する。さらに、(3)上記の(1)、(2)で構築する新たな「地盤環境基準」の実社会への実装において重要となる「社会受容性」ついて、規制影響評価による施策の有効性評価、長期的な土壌汚染/建設発生土のマテリアルフロー分析に基づく持続可能性評価を行う。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
(1)科学的根拠に基づく溶出特性評価スキームの構築では、カラム試験、シリアルバッチ試験、pH依存性試験の標準化を行う。汚染土壌50種類に標準化溶出試験方法を適用し溶出特性データベースを構築する。溶出特性化試験と従来型バッチ試験を組み合わせ、社会実装可能な二段階評価スキームを構築する。(2)管理/保管/有効利用のシナリオ構築と環境安全性の評価は、日本の50種類の土壌を対象に吸着特性試験、物理化学性試験を実施し地盤環境データベースを構築する。各種対策工の性能評価のその手法の提示を行う。社会的な課題となる3つの大規模な汚染に対して、地盤中の物質移動・有効利用時の環境・材料安全性等の科学的評価を組合せ、特定シナリオ下での許容濃度および管理・保管方法の判断基準を示す。(3)上記の(1)及び(2)で提案された施策に対して規制影響評価・社会受容性を分析し、実社会における有効性を学術的に評価する。
今年度の研究概要
汚染土壌からの重金属類の溶出特性を評価するための溶出特性化試験方法であるpH依存性試験、カラム通水試験、シリアルバッチ試験のうち、カラム通水試験の標準化を行う。具体的には、ISOの方法をベースとし、カラム長、流速、充填方法等の試験条件について、複数機関で共通試験を実施し精度評価を行う。次に、対象土壌の性状と汚染物質種との組み合わせによる溶出パターンを類型化することにより、必要最小限の試験で長期影響評価を行えるスキームを構築する。評価スキームでは、それぞれの溶出パターンを類型化することで、新たに評価すべき試料に対して、すべての試験メニューを実施するのではなく、最小限の試験によって環境影響がより正確に評価できるものとする。
外部との連携
京都大学、産業技術総合研究所、福岡大学