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環境化学物質の「多世代にわたる後発影響」の機序に関する研究(平成 27年度)
Studies on multigenerational late-onset effects of environmental chemicals

予算区分
AO 所内公募A
研究課題コード
1315AT001
開始/終了年度
2013~2015年
キーワード(日本語)
エピジェネティクス,多世代,後発影響,環境化学物質
キーワード(英語)
epigenetics, multigenerational, late-onset, environmental chemicals

研究概要

環境化学物質による「多世代にわたる後発影響」という新たな概念について、ヒトへの影響評価をめざした機序の解明や、生物における試験法の開発を通して影響を確認することによって、その重要性を示し、新たな影響評価指標として提案する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

申請者らは、無機ヒ素を妊娠マウスに投与すると、その仔世代のみでなく孫世代において、成長後に肝癌が増加するという新たな事象を発見した。このような環境化学物質曝露による多世代後発影響は、ヒトや各種生物で起こりうると考えられる。本研究では、孫世代へ影響が伝わり、そこで後発的に影響が現れる機序を、有力な原因と考えられるエピジェネティクスの関与を含めて明らかにする。また同様の多世代影響を生態系影響の指標生物でも探ることによって、「多世代後発影響」の重要性を明らかにし、新たな影響評価指標として提案する。

今年度の研究概要

1)妊娠期ヒ素曝露を受けた雌マウスの孫世代(F2)で肝腫瘍が増加するメカニズムを明らかにするために、昨年度、対照群およびヒ素曝露群F2の肝腫瘍についてゲノムワイドな突然変異解析法であるExome法による解析を開始した。今年度は次世代シークエンスデータについてバイオインフォマティクスを用いた解析を行う。本研究での解析結果と、他の研究で得られる遺伝子発現データ、エピジェネティック変化に関するデータを総合し、妊娠ヒ素曝露からF2での肝腫瘍増加に至る経路の推定を試みる。2)多世代後発影響がおこる可能性があるトリブチルスズなどの環境化学物質をミジンコに曝露し、世代ごとにDNAメチル化量を測定する。DNAメチル化としては、従来報告されている5mdCだけでなく、線虫で多世代影響に関与することが報告された6mdAの測定も行う。世代間のDNAメチル化量を比較することで、新たな影響評価指標の提案を目指す。

課題代表者

野原 恵子

担当者

  • 鈴木 武博環境リスク・健康領域
  • 佐野 友春
  • 鑪迫 典久
  • 古山 昭子
  • 岡村 和幸環境リスク・健康領域