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化学物質による生態影響の新たな評価体系に関する研究(平成 27年度)
The Study about a New Evaluation System of the Ecological Effect with Chemicals.

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 重点課題16
研究課題コード
1517BA004
開始/終了年度
2015~2017年
キーワード(日本語)
生物試験,試験方法
キーワード(英語)
bioassey, test guideline

研究概要

 わが国では化学物質による生態系への悪影響を最小化するために、化学物質審査規制法をはじめとする化学物質管理制度においてリスク評価が実施されているが、その中で使用される生態影響試験は数種類の試験生物による限定的なものであり、持続可能な生態系と生物多様性を確保するには、十分とはいえない。諸外国では多くの生物試験法が開発、登録されており、例えばOECDのテストガイドラインでは既に37種類のin vivo生態毒性試験法が存在し、増加および多様化する化学物質に対応すべくほぼ毎年何らかの追加、改訂が行われているにもかかわらず、わが国の化審法には7種類の試験法しか存在していない。さらに、多様な生物に対する試験法、長期・多世代影響試験法、ナノマテリアルや内分泌かく乱化学物質の様に特殊な物性・作用を持つ新たな化学物質の評価手法などは世界的にも研究途上にある。動物愛護や試験期間・費用の削減の観点からは代替試験法も求められており、in vitro毒性試験・in silico解析や作用メカニズムに基づく簡便かつ迅速な毒性予測手法の開発(AOP等)も必要とされる。これらの課題に対応し、諸外国の生態毒性試験法の動向を把握しつつ、今後の化学物質管理の枠組みの中に、我が国に適した生態毒性試験および試験生物種の導入を検討し、試験法の国際標準化および多様化する化学物質の管理に関わる試験の充実と次世代の化学物質管理体系の構築を提案する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

先行する生態毒性試験法として、OECDの試験法、米国環境庁の試験法、カナダ環境局の試験法、ドイツ試験法、米国試験材料協会、ISOなどのガイドラインの試験法を精査し、分別と取捨選択を行い我が国の化審法試験を補完できる試験法のリストを作成する。サブテーマに分かれて?多種・多様化している化学物質に対応するため、高度な試験手法、多様なエンドポイントをもつやや複雑な試験法、?生態系の多様性を考慮し、化審法の中には入っていないが生態系を構成する上での主要と目される生物(海生生物、昆虫、植物等)を用いた試験法、?ナノマテリアルなど化学物質としての環境動態が既存化学物質とは異なる特殊な物性や作用を持つ物質を対象とした試験法、?作用メカニズムに基づく簡便かつ迅速な毒性予測(AOP: Adverse Outcome Pathway)の開発を視野においたin vitro毒性試験・in silico解析など迅速かつ簡便で高精度な試験法、についてリストを作成する。
試験に必要な設備、道具や試験生物を調達し、実施可能な試験については予備的に試験を実施する
●サブテーマ(1)「繁殖影響試験など長期かつ多世代の影響を評価する試験法の開発」
諸外国の試験法を精査し、高度な試験手法、多様なエンドポイントをもつやや複雑な試験法についてその特徴を明らかにするとともに、我が国での必要性、実行可能性を検討し、重要度の優先順位を付けてリスト化し、それに基づいて実際に魚類、甲殻類などを用いて試験を実施し、適用可能性について検討する。
●サブテーマ(2)「生態系を構成する主要生物を用いた試験法の研究および特殊な物性や作用を持つ物質を対象とした評価法の開発」
諸外国の試験法を精査し、生態系の多様性を考慮し、化審法の中には入っていないが生態系を構成する上での主要と目される生物(海生生物、底生生物、昆虫、陸生植物、沈水植物等)を用いた試験法についてその特徴を明らかにするとともに、ナノマテリアルなど化学物質としての環境動態が既存化学物質とは異なる特殊な物性や作用を持つ物質を対象とした試験法について我が国での必要性、実行可能性を検討し、重要度の優先順位を付けてリスト化し、それに基づいて実際に試験を実施し、適用可能性について検討する。
●サブテーマ(3)「in vitro毒性試験・in silico解析や作用メカニズムに基づく毒性予測手法の研究」
諸外国の試験法を精査し、作用メカニズムに基づく簡便かつ迅速な毒性予測(AOP)という点から、in vitro毒性試験・in silico解析や作用メカニズムに基づく毒性予測手法など迅速かつ簡便で高精度な試験法について我が国での必要性、実行可能性を検討し、重要度の優先順位を付けてリスト化し、それに基づいてin vitro試験や様々なデータを用いてコンピュータによる解析を実施し、適用可能性について検討する。
初年度は試験法のリストを作成し。次年度はそのリストをもとに、優先順位に従い実際に試験を行い、実行レベルでその問題点等を明らかにし、問題があれば日本の環境に適用できるように試験法を改良する。最終年の後半はサブテーマ(1)〜(3)を統合し、それぞれの結果から得られた、我が国で導入すべきと考えられる試験法を整理し、化学物質評価体系の再構築を行う。

今年度の研究概要

先行する生態毒性試験法として、OECDの試験法、米国環境庁の試験法、カナダ環境局の試験法、ドイツ試験法、米国試験材料協会、ISOなどのガイドラインの試験法を精査し、分別と取捨選択を行い我が国の化審法試験を補完できる試験法のリストを作成する。サブテーマに分かれて?多種・多様化している化学物質に対応するため、高度な試験手法、多様なエンドポイントをもつやや複雑な試験法、?生態系の多様性を考慮し、化審法の中には入っていないが生態系を構成する上での主要と目される生物(海生生物、昆虫、植物等)を用いた試験法、?ナノマテリアルなど化学物質としての環境動態が既存化学物質とは異なる特殊な物性や作用を持つ物質を対象とした試験法、?作用メカニズムに基づく簡便かつ迅速な毒性予測(AOP: Adverse Outcome Pathway)の開発を視野においたin vitro毒性試験・in silico解析など迅速かつ簡便で高精度な試験法、についてリストを作成する。

外部との連携

外部機関から2名のアドバイザーを招聘し、環境省担当者およびPO担当者とともにアドバイザリーボードを開催した。

調査協力:いであ(株)、(株)LSIメディエンス、瑞輝科学生物(株)

備考

なし

課題代表者

鑪迫 典久

担当者