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海洋混合層における乱流パラメタリゼーションと粒子状物質の動態(平成 27年度)
Turbulence and suspended particulate matter dynamics in the ocean boundary layers

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1416CD021
開始/終了年度
2014~2016年
キーワード(日本語)
海洋混合層,粒子状物質,LES,乱流パラメタリゼーション
キーワード(英語)
Ocean mixed layer, Particulate matter, LES, Turbulence parameterization

研究概要

「Large Eddy Simulation (LES) モデルを用いた高解像度数値シミュレーション」を様々な大気外力条件や背景潮汐流条件下で実施し、乱流強度の現場観測と組み合わせることで「高解像度乱流データベース」を作成する。得られた情報をリファレンスとして海洋表層・海底混合層における流速場や密度場の鉛直混合過程、および、粒子状物質の鉛直拡散、沈降過程に関する既存の乱流パラメタリゼーション手法を抜本的に検証・改良するとともに、改良した手法を海洋の広域数値モデルに組み込み、その性能を確認する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

(1) Large Eddy Simulation (LES) モデルを用いて海洋表層および海底混合層応答の詳細な高解像度数値実験を行うとともに、その手法の妥当性を東シナ海や東京湾における乱流強度の現場観測との比較を通じて検証する。このようにして有効性を確認したLES実験の結果に基づき、「微視的」観点まで踏み込んで海洋物理場(流速場・密度場)の鉛直混合強度に関する既存の乱流パラメタリゼーション手法の検証・改良を行う。(2) LES実験から得られた時々刻々の流速、密度場の情報、および、海洋における植物プランクトンや粒子状有機物の文献値の情報を用いて粒子追跡の数値実験を実施し、粒子状物質の鉛直拡散・沈降過程に関する既存の乱流パラメタリゼーション手法の検証・改良を行う。 (3) 改良した乱流パラメタリゼーション手法を組み込んだ海洋環境の広域数値シミュレーションを実施し、その性能を確認する。

今年度の研究概要

平成26年度のLES実験から得られた時々刻々の流速場、密度場の情報や海洋における粒子状物質の文見地の情報を用いて粒子追跡の数値実験を行う。本研究では、化学・生物過程も関わる粒子状物質の多様な動態メカニズムに対して、まず、力学的側面からの不確実性解消をめざし、(1)「粒子状物質の鉛直拡散過程と流速、密度場の関連性解明」および(2)「粒子状物質の拡散・沈降過程の粒子サイズ、密度に対する依存性解明」に研究の重点を置く。得られた結果に基づき、「水温・塩分場と同一の鉛直渦拡散係数」や「海洋の密度変化等の影響を無視した一定の沈降速度」などの既存のパラメタリゼーションの妥当性を検証し、必要な改良を加える。改良したパラメタリゼーション手法を鉛直1次元の沿岸流動—沈降粒子動態結合モデルや海洋物理—生態系結合モデルに組み込み、先行研究との比較を通じてその性能を確認する。

関連する研究課題

課題代表者

古市 尚基