ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

生物毒性試験を用いた横浜市内の河川水系における環境リスク評価に関する研究(平成 27年度)
Studies on environmental risk assessments of river water pollutants in Yokohama areas by using biological toxic tests

予算区分
LA 共同研究
研究課題コード
1315LA001
開始/終了年度
2013~2015年
キーワード(日本語)
生態毒性,細胞毒性,農薬,PRTR,河川
キーワード(英語)
ecological toxicity, cell toxicity, pesticide, PRTR, river

研究概要

河川には、住居、事業所、工場、農地や家畜飼育場などから雑多な排水が流入し、そこに含まれる化学物質(有機・無機汚濁)により生態系に多様な悪影響(複合毒性)がもたらされているものの、原因物質が多岐にわたるため主因の特定が難しい。このような複合毒性に対するリスク評価をおこなうためには、まず全体的な毒性を計測する手法の開発とその観測を実施するとともに、毒性の主因となる物質の特定事例を集積して、多発しやすい毒性物質の絞り込みと相乗効果などの複合影響の検出に務めることが必要であると考えられる。
本研究では、横浜市内(市街地や農地など)の河川水について、オオミジンコ(Daphnia magna)を用いた生態リスク評価のための生態毒性(急性・繁殖毒性)試験と、ヒト由来細胞(OECD内分泌かく乱作用の検出に使用されているH295R細胞)を用いた健康リスク評価のための細胞毒性試験をおこなうとともに、PRTR対象物質や農薬類の分析により主たる毒性物質の同定を進めて、複合毒性の発現パターンを地点、ならびに水系の異なる河川水を比較しながら把握し、複合毒性に対する生態リスクと健康リスクの相関など環境リスク評価のための基礎資料にすることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

2013年度:横浜市内鶴見川水系の河川から採水をおこない、オオミジンコ(急性・繁殖毒性)試験とヒト由来細胞(H295R細胞)毒性試験、ならびに化学分析をおこなう。
横浜市環境科学研究所:主として採水と河川水や下水の農薬類とPRTR関連の化学物質の分析
国立環境研究所:主としてミジンコ毒性試験とH295R細胞毒性試験
(年間2〜3回の採水、合計30地点程度)

2014年度:横浜市内鶴見川水系以外の河川から採水をおこない、同様にミジンコ試験と細胞毒性試験、ならびに化学分析をおこなう。
横浜市環境科学研究所:同上
国立環境研究所:同上
(年間2〜3回の採水、合計80地点程度)

2015年度:国立環境研究所において、2年間の毒性試験と化学分析から得られたデータ、ならびに各物質のEC50やNOECの文献値から総合的に解析し、地点間、ならびに水系間で複合毒性に関して比較検討をおこなう。さらに、ミジンコ毒性試験データと細胞毒性試験データを比較検討し、河川水の複合毒性に対する環境リスク評価についても検討する。

今年度の研究概要

国立環境研究所において、2年間のミジンコ毒性試験データと細胞毒性試験データをそれぞれ地点間、ならびに水系間で比較検討し、河川水の複合毒性に対する環境リスク評価について検討する。さらにミジンコデータについては、農薬類等の化学分析をおこない、各物質のミジンコのEC50(半数影響濃度)やNOEC(無影響濃度)の文献値から総合的に解析し、複合毒性に関して検討をおこなう。

外部との連携

共同研究者:酒井学(横浜市環境科学研究所)

備考

旧課題コード:0911LA003

課題代表者

多田 満

  • 生物多様性領域
  • シニア研究員
  • 博士(農学)
  • 生物学,文学,農学
portrait

担当者

  • 曽根 秀子