- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1517CD004
- 開始/終了年度
- 2015~2017年
- キーワード(日本語)
- ライフサイクル評価,インベントリ分析,産業エコロジー
- キーワード(英語)
- Life cycle assessment, Life cycle inventory, Industrial ecology
研究概要
本研究では、どのような資源・物質の利用、どのような製品・サービスの利用がそのライフサイクルを通じて環境に大きな影響を与えているかを明らかにし、その総合的な評価に基づいて、環境対策の優先分野を同定する。このため、a) 資源・物質利用の環境影響評価手法の開発を行うとともに、b) 資源・物質利用および製品・サービス利用の環境影響評価のためのデータベースの構築を行う。また、これらをもとに、c) 資源・物質利用および製品・サービス利用の環境影響評価と環境対策優先度の検討を行い、注力して管理すべき対象を明らかにする。supply-driven型の産業連関分析を援用して資源・物質利用の環境影響評価手法を開発する点に特色があり、構築するデータベースは本研究目的だけでなく、様々な分野で活用できるものである。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
本研究では、どのような資源・物質の利用、どのような製品・サービスの利用がそのライフサイクルを通じて環境に大きな影響を与えているかを明らかにし、その総合的な評価に基づいて、環境対策の優先分野を同定する。このため、以下を実施する。
a) 資源・物質利用の環境影響評価手法の開発については、1 年目に対象資源・物質を選定するとともに、そのライフサイクルフローの同定とsupply-driven 型の産業連関分析を援用したモデル化を開始し、2 年目以降に1 単位の対象資源・物質のライフサイクル環境影響を推計する。b) 資源・物質利用および製品・サービス利用の環境影響評価のためのデータベースの構築については、1年目に対象環境負荷の選定と既存データベースの検証を行い、2 年目以降に3EID とIDEA の統合によるデータベースを構築する。 c) 資源・物質利用および製品・サービス利用の環境影響評価と環境対策優先度の検討については、2 年目の後半以降に、a)b)をもとに網羅的な環境影響評価を行い、注力して管理すべき対象を明らかにする。
今年度の研究概要
a) 資源・物質利用の環境影響評価手法の開発
a-1)資源のライフサイクルのできるかぎり上流側で対象とする資源・物質を選定する。注意すべきは、ダブルカウントの回避である。
a-2)選定した資源・物質のいくつかについて、そのライフサイクルフローを描き、どのような利用のされ方をしているか把握する。他のどのような物質と結びつき、どのような製品になるのか、これには産業連関分析におけるsupply-driven型のモデルを援用する。
a-3)上記をもとに、1単位の対象資源・物質のライフサイクル環境影響を試算する。この段階ではb)のデータベース構築が未だ不十分のため、製品製造段階や使用段階、廃棄段階については簡易なモデルもしくは仮定に基づいた試算を行う。また、各種環境負荷・環境影響の重み付けについては、LCAにおける日本版被害算定型影響評価手法(LIME)を使用する。対象とする環境影響の分野は、地球温暖化のほか、オゾン層破壊、酸性化、生態毒性、人間毒性等多岐に渡るが、検討範囲はb)のデータベースに依存する。
b) 資源・物質利用および製品・サービス利用の環境影響評価のためのデータベースの構築
b-1)重要性およびデータの利用可能性の両面から、対象とする環境負荷物質を選定する。後者については、IDEAにおける環境負荷物質の整備状況をもとに検討する。
b-2)上記と合わせて、国全体の製品・サービス需要に対する国全体の資源消費量・環境負荷物質排出量をIDEAを用いて推計した場合に、その結果が国全体としての統計とどの程度整合するかを検証する。
外部との連携
課題代表者:橋本征二(立命館大学、教授)
研究分担者:谷川寛樹(名古屋大学、教授)
加用千裕(東京農工大学、助教)
湯 龍龍 (農業環境技術研究所、研究員)
備考
当課題は、重点プロジェクト1「国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理」および重点プロジェクト3「地域特性を活かした資源循環システムの構築」にも関連