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越境大気汚染に含まれる粒子成分が循環器疾患発症に及ぼす影響(平成 26年度)
The effect of particles from long-range transported air pollutants on occurrence of cardiovascular disease

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1214CD016
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
エアロゾル,越境大気汚染物質,循環器疾患,脳卒中,急性心筋梗塞,粒子成分
キーワード(英語)
aerosol, long-range transported air pollutants, cardiovascular disease, stroke, acute myocardial infarction, particulate matter composition

研究概要

東アジア由来の越境大気汚染物質による健康影響についての懸念が高まっている。欧米を中心に、高濃度の粒子状物質曝露が循環器疾患に影響を及ぼすことが報告されている。また、その健康影響の大きさは、粒子の成分組成により異なることが示唆されている。しかし、越境大気汚染物質に含まれる粒子が健康、特に循環器疾患に及ぼす影響に関する知見は非常に乏しい。本研究では、福岡における粒子状物質の化学成分測定およびシミュレーションモデルにより、越境大気汚染物質の寄与を推定し、循環器疾患登録データとリンクさせることにより、越境大気汚染が循環器疾患発症に及ぼす影響について疫学的手法を用いて明らかにするとともに、詳細な臨床情報を組み合わせた解析により、高感受性集団を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

平成24年度
過去の疾患データおよび大気環境因子データを用いた予備的解析を行い、粒子状物質、ガス状汚染物質と循環器疾患発症との関連について評価するとともに、越境大気汚染による健康影響評価に用いる統計モデルについて検討する。また、循環器疾患登録として、福岡脳卒中データベース(FSR)および福岡県内の医療機関における急性心筋梗塞発症データの収集を継続して行い、解析に利用可能な症例数の蓄積を図る。福岡市内において、粒子状物質の連続観測を行い、微小粒子の重量濃度およびその成分分析(SO4, NO3, Cl, 有機物など)を実施する。
平成25年度
福岡における大気観測の継続とデータを蓄積する。また、アウトカムデータおよび観測データを結合し、疫学研究のための統合データセットを作成する。また、卒中関連遺伝子に関する知見の整理を行い、解析候補遺伝子を決定する。
平成26年度
環境データおよび疾患発症データを統合したデータセットを用い、統計解析を行い大気汚染物質と循環器疾患発症との関連についての定量的に評価する。次に、越境大気汚染の健康影響を評価する。また、影響を受けやすい高感受性集団・脆弱集団について検討する。

今年度の研究概要

過去の疾患データおよび大気環境因子データを用いた予備的解析を行い、粒子状物質、ガス状汚染物質と循環器疾患発症との関連について評価するとともに、越境大気汚染による健康影響評価に用いる統計モデルについて検討する。観測とモデルの二つの手法を用いて疫学研究に用いる越境大気汚染の曝露指標を考案する必要があるため、観測や越境大気汚染の寄与推定を担当する共同研究者と詳細な打ち合わせをする。また、平成26 年度に予定している脳卒中患者のSNP 情報を用いた層別化解析をするために必要な脳卒中関連遺伝子に関する文献レビューを行う。
 循環器疾患登録として、福岡脳卒中データベース(FSR)および福岡県内の医療機関における急性心筋梗塞発症データの収集を継続して行い、解析に利用可能な症例数の蓄積を図る。
 福岡市内において、粒子状物質の連続観測を行い、微小粒子の重量濃度およびその成分分析(SO4, NO3, Cl, 有機物など)を実施する。

外部との連携

共同研究機関:九州大学大学院医学研究院、済生会福岡総合病院、京都大学工学部

課題代表者

新田 裕史

担当者