- 予算区分
- AQ センター調査研究
- 研究課題コード
- 1115AQ015
- 開始/終了年度
- 2011~2015年
- キーワード(日本語)
- レファレンス,生態影響,全排水毒性試験
- キーワード(英語)
- reference, biological effect, WET
研究概要
化学物質の生態影響評価手法については、近年の化学物質の種類と量の増加、国内外の社会的背景を鑑み、常に更新される必要がある。また、内分泌かく乱化学物質、PPCPs、ナノマテリアル等のエマージェント・ケミカルについては、従来の試験法だけでは評価が難しく、国際的な枠組みの中、新たな評価手法の開発が推進され、試験法の種類や手法に多様・複雑・高度化の傾向がみられる。さらに、WET(Whole Effluent Toxicity)等の新たな排水管理手法の導入も検討されており、生態影響試験はより重要となることが予想される。従って、環境リスクに関する生態影響試験を国内各機関で実施する場合、標準化された手法とバイオリソースを用い、データの信頼性を担保することが望まれる。国立環境研究所は、中立的な研究機関としてのみならず、環境系試験機関のリードラボとしての機能が期待され、当研究所から発信される情報は、国内外における試験機関の基準となる可能性がある。そこで、当研究所の環境リスク研究リスクセンターにおいて、生態影響試験に関するレファレンスラボラトリー機能を付与し、国内外の関連機関と連携・協力しながら、生態毒性試験に係る技術等の普及・啓発に努め、国内の技術的な基盤の向上および環境リスク評価に用いられるデータの信頼性および質の向上を図り、国の政策に科学的側面から貢献することを目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
(1)環境リスクに関する最新の研究動向や社会情勢を踏まえ、国内外の関連機関と連携し、新規試験法の開発協力(プロトコール作成協力、リングテストへの参加等)を行う。
(2)環境リスク評価に必要とされる生態影響試験法を精査し、その教育、実習指導等を実施して国内の技術を標準化し、試験精度の向上の中軸を担う。
(3)法規制上位置づけられている試験用生物(メダカ等)の効率的な飼育・供給体制を整備し、試験機関への生物提供を行う。
以上を目的とし、生態影響試験データの信頼性向上と環境リスク研究の推進を図り、安全・安心な社会実現に向けた行政政策に貢献する。
なおこの研究課題は、期間内において継続的かつ安定的に実施するものとする。
今年度の研究概要
(1)連携・協力
・実事業所排水を対象としたWET試験法マニュアルの検証試験の実施(WET関連)
・ナショナルセンターとして、欧米と共同開発中の試験法(メダカ多世代試験(MMT)等)を整備して、環境省を通じてOECDへ提案し、試験法の国際標準ガイドライン化を目指す。
・OECD魚類専門者会合等に出席し、試験法整備に関する国際協調及び協力を進める。
(2)普及・啓発
・生態影響試験の基礎的な知識や技術の普及を図り、試験機関の整備を援助することを目的とした、生態影響試験実習セミナーを、ミジンコおよび魚類を対象として、年2回開催する。
・WET試験の実施を希望する試験機関に対し、技術的な指導等を行う説明会を年1回程度開催する(WET関連)。
・Webによる情報発信、及び相談窓口を設ける。また、試験法の説明や講演内容の動画を作成しホームページ上にアップする。
(3)基盤・支援
・試験生物供給システムの効率化および安定化を目指し、試験生物の品質を管理する。
外部との連携
米国EPAとの共同研究による、メダカ多世代試験およびミジンコ多世代試験の整備
地環研を主たる対象とした、講習および実習会の開催
英国との共同研究による、抗アンドロゲン作用物質を対象とした試験法の開発
韓国との共同研究による、PFOSの環境実態調査