- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1415CD003
- 開始/終了年度
- 2014~2015年
- キーワード(日本語)
- 食性,生活史初期,ペプチド核酸,甲殻類,底棲魚介類,東京湾
- キーワード(英語)
- feeding habit, early life stage, peptide nucleic acid, crustacean, benthos, Tokyo Bay
研究概要
海産生物の幼若個体の消化管内容物から餌生物種組成および摂餌量を推定する手法を開発する。東京湾において資源量減少が著しいシャコの生活史初期個体を研究対象とする。捕食者(シャコ)の消化管組織を含む消化管内容物から抽出したDNAを鋳型として、ペプチド核酸を用いたPCRを行い、捕食者のDNA増幅を阻害しつつ、餌生物由来のDNAのみ増幅する。得られた増幅産物の塩基配列から判明した餌生物種に特異的なプライマーを用いて定量PCRを行い、摂餌量を餌生物種別に推定する方法を開発する。また、食性を経年的に解析して、個体数密度と捕食された餌生物の種組成と量の間の関係を調査することにより、生活史初期における摂餌生態が資源量変動に及ぼす影響を評価する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
シャコの生活史初期個体を研究対象とし、ペプチド核酸を利用した餌生物の種組成推定および定量を行う手法を開発する。ユニバーサルプライマーを用いたPCRにより幅広い分類群の真核生物の遺伝子を増幅すると同時に、ペプチド核酸により捕食者であるシャコの遺伝子増幅を阻害する。得られた増幅産物の塩基配列を解析し、餌生物種組成を推定する。次に、推定された餌生物種に特異的なプライマーを用いて定量PCRを行い、シャコが各餌生物種をどの程度の摂餌したか推定する。この手法の妥当性について、飼育試験により検証する。また、野外調査から得られた生活史初期個体について食性を解析し、実環境中における餌生物の種組成および摂餌された量を推定する。生活史初期の生残率が高い年と低い年の幼生・幼体試料について食性解析を実施し、餌条件がシャコの資源量変動に及ぼす影響を評価する
今年度の研究概要
東京湾において、食性解析に供するシャコの生活史初期個体を採集する。また、飼育試験で人為的に卵を孵化させて生活史初期個体を得る必要があるため、成熟した卵巣を有するシャコ成体を底曳網により採集する。環境中の餌生物の種組成および豊度を調べるため、プランクトンネットにより動物プランクトン、および採泥器によりマクロベントスを採集する。
未知の餌生物種の推定を行うため、多数の真核生物群の情報が利用できるリボソームDNA(18S領域または28S領域)を解析対象の候補として、幅広い分類群の真核生物の解析対象DNAを増幅するユニバーサルプライマーを設計する。捕食者(シャコ)の解析対象DNAの増幅を阻害するため、シャコ固有の塩基配列に特異的に結合するペプチド核酸プローブを設計する。
飼育下において成熟シャコの産卵で得られた卵を孵化させ、食性解析に供する幼若個体を得た上で、種名が既知の餌生物を給餌する。そして、餌生物の解析対象DNAを増幅するためのユニバーサルプライマーと、シャコの解析対象DNAの増幅を阻害するためのペプチド核酸プローブを用いてPCRを行う。増幅産物をクローニングし、塩基配列決定を決定する。Web上の遺伝子塩基配列データベースによるホモロジー検索により推定された分類群と実際に給餌した餌生物種が属する分類群との整合性を調べる。また、消化の進行によって、給餌した餌生物種と消化管内容物から推定された餌生物種に相違が生じるかについても明らかにする。
- 関連する研究課題
- 24747 : 環境リスク研究分野における研究課題
- 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題
課題代表者
児玉 圭太
- 環境リスク・健康領域
生態系影響評価研究室 - 主幹研究員
- 博士(農学)
- 水産学,生物学