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資源価値を引き出す次世代マテリアルストックに関する研究(平成 26年度)
Next-generation Material Stock that Realize the Full Potential of Resources

予算区分
BA 環境-推進費(委託費)  
研究課題コード
1416BA005
開始/終了年度
2014~2016年
キーワード(日本語)
物質フロー分析,物質ストック分析,金属,サプライチェーン
キーワード(英語)
Material flow analysis, Material Stock Accounting, Metal, Supply chain

研究概要

本研究は,社会が活用する“動”と“静”の資源のうち,
  “動”を評価するマテリアルフロー分析に加えて,
  “動”を支える“静”に焦点を当てたマテリアルストック分析
を行い社会に滞留する資源の価値について定量化および指標体系の構築を行う.
 社会に蓄積されたストックは“静”の状態として資源価値を発揮し,同時に“動”であるフローを発生・効率化させ,“動”と“静”は表裏一体のシステムとして,資源を利用する社会を豊かにする.本研究では,その豊かさを生み出すマテリアルストックについて,経年的かつ地理的に定量化を行い,使用価値や資源化価値,低炭素性などに基づき整理する.特に,日本のマテリルフローの約半分を投入し整備を進める土木や建築のような構造物について,単体だけの評価ではなく,人間活動を支えるシステムとして評価を行い,社会のフローを支える資源価値の高いストックの抽出を行う.さらに,今後の社会経済動向や地理的条件も加味しつつ,資源価値の高いストックを生み出す戦略を検討するためのツールの開発を行うとともに,ストックの利用価値等に関する指標について検討を進める.検討に際して,先進諸国でのストックの状況にも目を向けモデルを構築することで,国際的な比較も可能にする.また,ストックを空間的に把握することから巨大災害時に被害を受ける物質量の定量化にもつながる.
 また,これらの知見はアジアやアフリカ諸国へ次世代社会のあり方を示す布石となるはずであり,適正な資源蓄積へ直接導く,リープフロッグともいえるロードマップを示すことが可能となり,ケーススタディを実施する.

環境政策への貢献:第3次循環型社会形成推進基本計画では,我が国に蓄積されている資源のストックに関する指標に関し“今後の検討課題”として,ストック指標の重要性を指摘し,検討を進める旨を記載している.本研究の方向性と全く合致するもので,本研究の成果を次期循環型社会推進基本計画へインプットできるよう進めてゆきたい.

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

社会資本ストックや建築物といった大量の資源ストックを対象として空間的に定量化を行い,社会資本の拡充や更新,効率化に伴う資源生産性の向上などを明らかにすることで資源価値の評価を行い,ストック指標体系の構築を目指す.本研究の成果を元に,次期循環型社会推進基本計画への貢献を目指す。さらに,国際的な議論も重要であることから,アジア・アフリカ諸国を対象としたストック分析も実施し,適正な資源蓄積についてケーススタディを行う.

 こうした認識のもとに,以下の4つのサブテーマを実施する.
サブテーマ1:(名古屋大学)社会資本・建築物のマテリアルストック分析・GISモデリング
サブテーマ2:(東京大学)資源の社会蓄積量の推計と価値の評価
サブテーマ3:(立命館大学)ストック指標体系の政策評価
サブテーマ4:(国立環境研究所)国際ストック・フローデータベース拡充

目標とする成果の発表先
国際誌:Journal of Industrial Ecology, Resource Conservation and Recycling, Environmental Science and Technology, Energy Policy, Sustainability Scienceなど
国内誌:土木学会論文集,環境科学会,環境システム研究論文集,日本LCA学会誌,環境・経済政策研究,廃棄物学会など

今年度の研究概要

これまでの推進費(S-6-4)でのマテリアルフローデータベースおよび本申請グループによるストックデータを統合し,統計と地理情報を融合させた時系列かつマルチスケールのデータベースを構築する.日本では戦後から現在における時系列のデータをGISベースで整備・拡充する.途上国においては,統計データより把握可能なストック・フローデータベースを構築する.これらのデータを基にシステムダイナミックスを利用したモデル化の基礎を構築する.並行して,経済成長とストックのデカップリング評価を行い,日本や先進国におけるストック拡充の傾向を明らかにする.

●サブテーマ1(名古屋大)地理情報を基礎としたストックデータベースの拡充を行う.サブグループメンバーはこれまでに地理情報システムを用いた建築物や道路のデータベースを構築済であり,構造物種の追加,属性項目の追加をすることで拡充を行う.
●サブテーマ2(東京大)経済活動と資源の消費量とのデカップリングを評価するため、物質フロー・ストック分析を用いて、資源の社会蓄積量の変遷を推計する。主に日本および中国を対象とし、金属など工業原材料に主眼をおく。資源の価値評価の手法について、基礎的検討を行う.
●サブテーマ3(立命館大)統計情報を基礎としたストックデータベースの拡充を行う.また,サブ1と連携して,システムダイナミクスを用いたモデル化の基礎を構築する.
●サブテーマ4(国環研)国際貿易に伴う金属資源の移動量を中心に、アジア・アフリカ等の物質フロー・国際サプライチェーンデータの整備を行い,素材ごとのフローデータとの整合性を検討する。また、ストック推計の枠組み設計との推計・解析のために必要となる時系列情報の収集として、対象品目の選定・貿易量情報の抽出・原単位の収集などに着手する。

外部との連携

[代表者]谷川寛樹 (名古屋大学大学院環境学研究科、教授)

[連携機関とサブテーマリーダー]

名古屋大学 谷川寛樹 (名古屋大学大学院環境学研究科、教授)

東京大学 森口祐一 (東京大学大学院工学系研究科、教授)

立命館大学 橋本征二 (立命館大学理工学部、教授)

課題代表者

中島 謙一

  • 資源循環領域
    国際資源持続性研究室
  • 上級主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,材料工学
portrait

担当者