- 予算区分
- CE 文科-振興費
- 研究課題コード
- 1115CE001
- 開始/終了年度
- 2011~2015年
- キーワード(日本語)
- 北極海,温暖化,環北極域,土壌圏,永久凍土,放射性炭素
- キーワード(英語)
- Arctic Ocean, warming, pan-Arctic region, pedrosphere, permafrost, radiocarbon
研究概要
環北極陸域の生態系は熱・水・物質循環を介して熱力学・水文過程および植生動態と相互作用環を形成し一つの陸域システムを成している。北極気候システムの中では一つの重要なサブシステムとして大気および海洋とも相互作用し、永久凍土の融解、積雪域や植生の変化等に伴うアルベドの変化、温室効果ガス放出量の変化を通して、全球あるいは日本の気象・気候にも影響を及ぼすと考えられる。本研究は戦略目標(1)と(2)における環北極陸域システムの役割・機能を解明し、気候への影響を評価することを目的とし、凍土変動、植生、生態系の生産と炭素貯蔵量、積雪分布とアルベド、メタン放出、陸と大気の相互作用について、観測とモデルの融合的研究を推進する。現場観測によるメカニズムの解明を進めるとともに衛星データを利用した面的評価を行い、モデルの開発・改良・評価を行うが、モデルとの連携の観点から基盤となる現場観測データは、すでに様々な観測が実施されている地点における長期継続観測、移動型観測システムによる領域観測、および環北極域全体における多点広域観測の3つのカテゴリーで実施する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
環北極陸域には、連続永久凍土帯から季節凍土帯まで異なる状態の凍土が存在し、陸域表層の生態系は熱・水・物質循環を介して水文過程および植生動態と相互作用環を形成し一つの陸域システムを成している。陸域生態系は気温上昇の直接の影響を受けるだけでなく、温暖化による凍土の融解が進行すれば、水文過程の変化によって植生や物質循環系が変化し、陸域システムのさらなる変化を引き起こす可能性がある。近年の海氷面積の減少はよく知られた事実であるが、陸域においても降水—貯留—河川流出における異常などが顕在化し、植生や物質循環系の変化が連鎖的に生じていると考えられる。これらの陸域システムにおける変化は、凍土や土壌水分といった地上からは見えにくい地下の環境変化に関連しており、さらに植生変化などは緩慢であるため、海氷面積のような瞭然たる変化として認識されにくい。また、言うまでもなく、陸域生態系の応答は凍土の状態、植生の種類により異なり、環北極のそれぞれの地域ごとに異なる変化が予想されるが、凍土の状態について現状把握すら充分に行われていない。
環北極陸域システムは大気および海洋と相互作用し、北極気候システムの中の一つの重要なサブシステムであり、積雪や植生の変化等に伴うアルベドの変化や温室効果ガスの吸収・放出の変化を通して、全球あるいは日本の気象・気候にも影響を及ぼしていると考えられる。本研究は、スバールバル、北欧、シベリア、アラスカ、カナダにおいて観測を実施し、これらをあわせた解析を行い、環北極陸域システムの変動を理解し気候への影響を解明することを目標とする。
今年度の研究概要
昨年度の調査、サンプリングにより得られた試料の分析・解析を継続するとともに、今年度は、昨年度の予備分析の結果に基づき、さらに試料採取を行う予定である。6月から7月にニーオルスン周辺及び8-9月において、アラスカでの調査を実施する予定である。
外部との連携
共同研究機関:国立極地研究所、北海道大学、北見工業大学、海洋研究開発機構、東北大、アラスカ大