- 予算区分
- BE 環境-推進費(補助金)
- 研究課題コード
- 1213BE001
- 開始/終了年度
- 2012~2013年
- キーワード(日本語)
- 災害対応,浄化槽,分散型システム,衛生,地理情報システム
- キーワード(英語)
- Disaster countermeasures, Johkasou, Decentralized system, Sanitation, Graphical information system
研究概要
本研究では、東日本大震災において顕在化した分散型システムの必要性を鑑み、衛生設備の被害を50%削減し、半年〜1年程度を要していた浄化槽の被害・復旧状況の把握を1週間程度に迅速化しうるハード・ソフト両面での災害対応型浄化槽システムの提示を目標として、災害時の公衆衛生の確保を目指した災害対応浄化槽の技術基準の確立や関連施設のデジタルマッピングによるGISを活用した支援システムの確立を図り、その防災・減災効果の総合評価を実施する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
東北被災3県の浄化槽協会等の協力を仰ぎ、浄化槽の構造・施工状況と震災被害状況の関係解析を行い、防災・減災を目的とした浄化槽の技術的・制度的課題を抽出する。これを踏まえ、浄化槽メーカー団体や浄化槽性能評価機関、浄化槽維持管理の関連機関等と連携して消毒筒や配管接続部の構造、液状化防止のための掘削・埋め戻し方法、スラブ、支柱等、被害を最小限度に留め暫定使用を可能とする構造・施工方法等について、国内認証制度や国際規格化を見据えた災害対応浄化槽の技術基準を提案する。また、指定避難場所等での活用を想定した分散型エネルギーや処理水循環等による自立型浄化槽を開発するとともに、マンホールトイレによる緊急使用や応急仮設住宅に適した浄化槽の開発等も含めた分散型浄化槽の災害対応・活用方策を整理・検証する。
さらに、浄化槽、汲み取り便槽、し尿処理施設、バキュームカー、避難所、仮設トイレ、仮設住宅、バイオマス関連施設等のデジタルマッピングを行い、施設の種類、場所、許容量等の基礎情報と被災・復旧状況等の情報をGISを活用して集約・可視化すると同時に、施設配置問題と輸送計画問題をあわせた問題の最適解を導く混合IP(Integer Programming:整数計画)モデル等をベースとした最適化アルゴリズムを開発し、浄化槽等が使用できない地域への仮設トイレの手配やし尿・汚泥の収集・運搬の迅速化、応急対応や復旧の人的支援や機材供与等の効率化を図る情報伝達システムを構築する。本システムでは、復興フェーズにおける浄化槽汚泥、汲み取りし尿等のバイオマス利用を含めた技術システムの地域連携を検討し、地域の復興計画についても貢献するものである。これらの防災・減災および公衆衛生の向上に関する効果については、東北被災3県の浄化槽協会等の協力を仰ぎ、被害状況の実態を踏まえた検証と同時に、環境影響評価を実施する。
今年度の研究概要
減災効果のある浄化槽の構造・施工に関する検討を実施するとともに、耐震性評価の基準策定を行う。また、災害時の制約条件から自立した浄化槽技術の確立と水・熱・電気の総合効率の解析と最大化について検討を実施する。さらに、GISを活用した被害状況確認と浄化槽台帳による情報集約化システムの構築を進めるとともに、し尿・汚泥輸送シミュレーションの最適化アルゴリズムの開発・改良を継続する。これらを踏まえ、汚水処理施設整備における減災効果の評価基盤を確立するとともに、今後の災害時に衛生設備の被害を50%以上削減する復興整備モデルの提示および総合評価を実施する。
外部との連携
共同研究機関:(公財)日本環境整備教育センター、(社)浄化槽システム協会、(一財)日本建築センター、(一財)茨城県薬剤師会検査センター、(一財)日本環境衛生センター、(一財)消防科学総合センター、(公社)岩手県浄化槽協会、(公社)宮城県生活環境事業協会、(公社)福島県浄化槽協会、首都大学東京
課題代表者
蛯江 美孝
- 企画部
国際室 - 室長(行政)
- 博士 (農学)
- 生物工学,化学,土木工学