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湖沼メタンの炭素14年代測定による永久凍土融解速度推定技術の開発(平成 24年度)
Developing methods for the permafrost melting rate using radiocarbon analysis of dissolved methane in the lake water

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1214CD014
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
溶存メタン,永久凍土,放射性炭素
キーワード(英語)
dissolved methane , permafrost, radiocarbon

研究概要

アラスカ、シベリアの北極圏には永久凍土地帯の存在が認められている。この永久凍土層の融解に伴い、大量のメタンの発生が促され、温暖化の正のフィードバック機構が演じられるとされているが、その発生量増加率は明らかにされていない。本研究では凍土地帯上の湖沼に着目し湖水中の溶存メタンおよび近傍の永久凍土の放射性炭素同位体を利用する加速器質量分析計による 年代測定(AMS14C)から、永久凍土起源の溶存メタン比率を明らかにし、永久凍土の融解が湖沼水中溶存メタン濃度増加(大気への拡散メタンフラックス)に寄与する程度を定量的に決定する手法を確立する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

永久凍土の融解が湖沼水中溶存メタン濃度増加に寄与する程度を定量的に決定するために、本研究の基盤となる個別の計測技術の確立を行う。すなわち、
1 .湖水中 DM の AMS14C 年代分析方案確立、 2. 濃縮メタン試料(国内湖沼)の輸送方案確立、 3. 凍土融解水による混合比率の較正方案確立、 4. 凍土中有機物および湖底堆積物の年代測定である。

今年度の研究概要

本年度は、1 .湖水中 DM の AMS14C 年代分析方案確立、 2. 濃縮メタン試料の輸送方案確立を実施する。
1.湖水中 DM の AMS14C 年代分析方案確立
湖水中メタンのみを分離・貯蔵する方法は、複数のバリエーションが考えられ、実際の運用によって最適な方式を選定する。最終的な貯蔵量は限界量 40 μg-C に対し十分余裕をもった量とすることが望ましい。また、DM によっては試料水の量が 10L を超える可能性もある。このように従来の固形 C とくらべて桁違いに大量の処理が必要になるため、個々の要素の容量や処理時間については、実際の処理を通じて決定する必要がある。溶存気体を扱う際には採水の扱いに注意を要するため、採水は国内のフィールドにおいて研究代表者らが実施し、試料水を国立環境研に送る。
2. 濃縮メタン試料の輸送方案確立
海外のフィールドで採取した試料については、現地で濃縮・貯蔵処理されたメタンを日本に送る必要性が生じる。1において、四角枠で囲んだ貯蔵カラムをバルブと自己融着テープで封止し、カラムごと緩衝材にくるんで輸送するイメージとなる。研究代表者らが採水した試料を北見工業大学において濃縮処理し、メタン封入カラムを国立環境研に送付し、AMS の設置場所で濃縮処理から一貫して計測した場合との差異が発生しないことを確認する。

外部との連携

研究代表者は、北見工業大学工学部教授 佐々木正史

課題代表者

近藤 美由紀

  • 環境リスク・健康領域
    計測化学研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,生物学,農学
portrait

担当者