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窒素飽和状態にある森林域からの窒素流出負荷量の定量評価および将来予測(平成 24年度)
Evaluation and prediction of nitrogen load from nitrogen saturated forest area

予算区分
AG 特別研究
研究課題コード
1012AG003
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
窒素飽和,森林管理,汚濁負荷,カルシウム枯渇,発生源解析
キーワード(英語)
nitrogen saturation, forest management, pollutant load, calcium depletion, source characterization

研究概要

筑波山を含む霞ヶ浦流域を対象に、(1)1980年代より窒素飽和状態にある筑波山森林域において集水域単位での物質収支調査を行い、窒素飽和状態の持続が森林域からの窒素・リン流出負荷量に及ぼす影響を評価する。(2)霞ヶ浦流入窒素負荷に対する各種面源負荷の寄与割合算出手法を開発し、窒素飽和状態にある森林域の負荷発生源としての寄与を定量評価する。(3)窒素負荷流出モデルやカルシウム収支モデルの開発、適用によって、窒素飽和状態のさらなる持続が、森林域の窒素負荷発生源としての寄与を増加させることを定量評価するとともに、カルシウムの欠乏による森林衰退が生じる可能性を明示する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

サブテーマ1:窒素飽和状態にある森林域からの窒素流出負荷量の定量評価
・1980年代に物質収支調査が行われた筑波山森林試験地を主な対象とした物質収支(発生源の寄与推定を含めた大気降下物流入量と流出負荷量)調査を行い、過去の観測結果との比較検討を実施する。併せて、霞ヶ浦の主要流入河川下流部を対象に、降雨時汚濁負荷流出量調査と、硝酸イオン中の窒素、酸素安定同位体比を用いた発生源解析によって土地利用別の窒素流出負荷量の推定を行う。これにより、窒素飽和の進行が窒素の流出特性に及ぼす影響や霞ヶ浦総流入窒素負荷量に対する森林域からの流出負荷量の寄与割合を明らかとする。
・カルシウム供給能という観点で脆弱な地質である花崗岩を母岩とした複数の森林集水域を対象に、土壌中の交換性カルシウム量等の測定や、ストロンチウム同位体比等をトレーサーとした渓流水中のカルシウム起源推定を行う。併せて、主に花崗岩を母岩とする筑波山森林試験地を対象にカルシウム収支調査を行い、過去の調査結果との比較検討を行う。これにより、窒素飽和の進行が土壌中の可給態カルシウム量や集水域単位でのカルシウム収支に及ぼす影響を明らかとする。

サブテーマ2:数値モデルを用いた窒素飽和進行の影響評価
・筑波山森林試験地を主な対象として、)森林生態系における窒素循環を反映した窒素流出モデル、カルシウム収支モデルを開発し、観測データを用いたモデルによる再現性を検証する。)なりゆきでの窒素飽和の更なる進行をシナリオとしたモデル計算を行い、森林域の窒素負荷発生源としての寄与の増加傾向、カルシウムの枯渇による森林衰退の可能性をそれぞれ評価する。

今年度の研究概要

・霞ヶ浦の主要流入河川下流部を対象に、降雨時汚濁負荷流出量調査と、硝酸イオン中の窒素、酸素安定同位体比を用いた発生源解析によって土地利用別の窒素流出負荷量の推定を行う。これにより、窒素飽和の進行が窒素の流出特性に及ぼす影響や霞ヶ浦総流入窒素負荷量に対する森林域からの流出負荷量の寄与割合を明らかとする。
・主に花崗岩を母岩とする筑波山森林試験地を対象にカルシウム収支調査を行い、過去の調査結果との比較検討を行う。これにより、窒素飽和の進行が土壌中の可給態カルシウム量や集水域単位でのカルシウム収支に及ぼす影響を明らかとする。
・なりゆきでの窒素飽和の更なる進行をシナリオとしたモデル計算を行い、森林域の窒素負荷発生源としての寄与の増加傾向、カルシウムの枯渇による森林衰退の可能性をそれぞれ評価する。

外部との連携

・茨城県霞ケ浦環境科学センター
・栃木県保健環境センター

課題代表者

林 誠二

  • 福島地域協働研究拠点
  • 研究グループ長
  • 博士(工学)
  • 土木工学,林学
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担当者