- 予算区分
- AQ センター調査研究
- 研究課題コード
- 1216AQ001
- 開始/終了年度
- 2012~2016年
- キーワード(日本語)
- 紫外線,放射,ビタミンD,オゾン,エアロゾル
- キーワード(英語)
- UV radiation, radiation, Vitamin D, ozone, aerosol
研究概要
国立環境研究所地球環境研究センターでは、温室効果気体やオゾン等大気中微量気体成分の地球環境モニタリングを実施している。また、北海道から沖縄まで全国14地点の紫外線情報を取得し、毎時のUVインデックスという指標を作成してホームページから公開している。1980年代の南極オゾンホール発見以降、紫外線は人体に有害で、皮膚癌や白内障を引き起こす元となるのでなるべく避けた方が良いという認識が一般的に広まってきた。一方で、人体に不可欠なビタミンDの生成のためには紫外線を浴びることが必要であるが、どのくらい紫外線を浴びるのが必要かという定量的な議論はこれまであまりなされてこなかった。本研究では、放射伝達計算を元に、人体がビタミンDを体内で生成するために必要な紫外線量について計算する。また、それによって得られた知見を元に、国立環境研究所が紫外線を観測している国内14地点において、各季節、UVインデックスがいくつの時に、どのくらいの時間紫外線を浴びることがビタミンD生成のために必要かを示す、定量的な新たな指標を作成することを目指す。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
本研究では、大気中オゾン量・エアロゾル量を用いた紫外線放射伝達計算を元に、人体がビタミンDを体内で生成するために必要な紫外線量について計算する。その際に、これまで欧米で開発されたUV-indexの導出時には考慮されてこなかった、人種・肌の色によるビタミンDの生成されやすさ・されにくさといったパラメータも考慮に入れる。それによって得られた知見を元に、国立環境研究所が紫外線を観測している国内14地点において、各季節、UVインデックスがいくつの時に、どのくらいの時間紫外線を浴びることがビタミンD生成のために必要かを示す、定量的な新たな指標を作成することを目指す。さらには、これまで紫外線は有害なものであると言った一般に流布している知見を改め、必要最小限の紫外線は浴びる必要があるという情報を一般に伝える啓蒙活動にも努める。
今年度の研究概要
研究初年度にあたるH24年度には、以下の研究を行う。まず、放射伝達計算を行うための計算機環境の構築を行う。次に、実際の紫外線スペクトル観測及びオゾン・エアロゾル観測を行っている、気象庁高層気象台のつくば及び札幌におけるデータを用いて放射伝達計算をおこなう。その際は、人種によるビタミンD生成されやすさの指標も考慮する。それにより、各季節において、人体にとって不可欠なビタミンD生成にひつような日光照射時間の導出を行う。