- 予算区分
- AN 新発想
- 研究課題コード
- 1212AN001
- 開始/終了年度
- 2012~2012年
- キーワード(日本語)
- 量子化学計算,化学物質,アミン,オゾン,水酸基ラジカル,反応速度
- キーワード(英語)
- quantum chemical calculations, chemicals, amine, ozone, hydroxyl radical, reaction rate
研究概要
浮遊粒子状物質の原因とされるガス状化学物質は、O3・OHとの反応速度定数が重要であり、化学物質の部分構造(フラグメント)の係数に基づく推算システムも公開(USEPA AOPWIN)されている。この内、アミンは酸塩基反応から浮遊粒子状物質を形成する懸念もあるが、O3との反応速度定数の情報が十分ではない。本研究では、量子化学計算により気相中でのアミンとO3との反応速度定数と生成物の予測と計算手順の確立を目的とする。更に、光化学反応も含むO3・OHとの速度定数を再現する手法構築を目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
1) 反応経路探索 実験で速度定数が得られているアミンとO3(OH)の反応に注目する。反応経路探索手法(GRRM法)により反応遷移状態とエネルギー極小構造を網羅的に探索し、反応経路の候補を抽出する。量子化学計算は計算負荷の低い密度汎関数法を用い、O3とアミンの配向に考慮した初期座標を設定し、計算時間の短縮を図る。また、アミンをエチレンに置換えた計算を行い、GRRM法の結果がポテンシャルエネルギー曲面での遷移状態を再現するか検証する。
2) 高精度電子状態計算 定量的な値を得るためには高精度電子状態計算が必要である。共同研究者と協議しながら1) で求めた構造や反応経路の妥当性を評価するための計算手法を選択し、得られた結果から妥当な反応経路(活性化エネルギー)を決定する。
3) 実験値との比較検証および条件の提案 活性化エネルギーから反応速度定数を求め実験値やAOPWINで得られた値と比較・検証し、生成物の提案を行う。また、アミンとO3(OH)との反応性が高くなる条件を示す。
今年度の研究概要
量子化学計算を用いて、大気中有機化合物のうちアミンとオゾン(O3)・ヒドロキシルラジカル(OH)との遷移状態での構造探索を網羅的に行い、反応速度定数と生成物を決定する。更に、実験と同等精度の定量的数値を再現する高精度計算の手順を確立し、気相中の反応速度定数を予測する基盤を形成する。
外部との連携
共同研究:北海道大学理学研究院化学部門量子化学研究室
備考
本研究は、北海道大学理学研究院化学部門量子化学研究室との共同研究で実施した。
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