- 予算区分
- BE 環境-循環型社会
- 研究課題コード
- 1113BE005
- 開始/終了年度
- 2011~2013年
- キーワード(日本語)
- 廃棄物埋立地,浸出水,アジア,温室効果ガス,水質汚濁
- キーワード(英語)
- waste disposal site, leachate, Asia, greenhouse gas, water pollution
研究概要
アジア特有の地理文化的な背景を踏まえたうえで、都市の発展に応じた埋立地浸出水の変動に対応可能な技術を開発・検証し、都市の廃棄物管理体系と一体化した浸出水の管理方策を日本の技術移転パッケージとして包括的に提案する。アジア都市域の廃棄物管理体系は、経済成長および環境保全にかかる国際的枠組の影響を受けて大きな変革を遂げる過渡期にある。なかでも、廃棄物埋立地は単純な投棄地から、資源回収拠点あるいは温室効果ガス管理の対策拠点として、日本を含む諸外国から注視されている状況にある。しかし多くの埋立地の機能・構造強化に際して、浸出水対策の高度化は置き去りにされており、貯留池や地盤への浸透など旧態依然のままのケースが多く見受けられる。浸出水対策を単なる末端技術としてではなく、都市域の廃棄物フローの高度化・多様化に伴い問題が集約した場として捉え、廃棄物管理技術・システムの移転および導入を完結させるため、問題低減の最適手法と効果について実証的に提示する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
アジア都市の埋立地浸出水および周辺水環境の利用形態について、貯留池の構造リスク、水量の変動、水質(窒素、有機物、色度、その他の有害物質)等のアジア型の問題特性と浸出水対策の実情を把握する。その上で、個別の技術開発を実施する開発グループ、現場適用を視野に入れた実用化グループ、廃棄物管理システムへの現地適合化を進める評価グループ、として研究を実施する。
開発Gは、本地域の埋立地に未適用の既存技術の適応を図る。埋立層への選択的浸出水循環、酸素制御・アナモックス反応による原位置窒素除去等の技術の低コスト化・環境性能の向上を新規の開発要素として加味する。特に、最適運転時の性能だけでなく、気候・環境要因に基づく変動、将来の廃棄物管理方策の変更、現地供給可能な材料・技術に広く対応可能な、「丈夫」で「簡易な維持管理」を可能とするアジア適合型の技術開発を指向する。
実用化Gは、本地域の浸出水対策の問題点に対してより応用的かつ実践的に対処する。既存施設の改変や技術の組合せにより、機能の改善・新機能の付加によって技術を現地適合化する方法論を提示する。これには浸出水貯留池の機能強化、簡易人工湿地化による原位置処理能力の向上、嫌気性消化を活用した水質安定化、余剰地活用による太陽光応答型光触媒の適用が挙げられる。また、開発Gで効果が実証された技術について、現地適応化に関する条件・管理特性を整理し、将来の実用化に向けた方向性を提示する。
評価Gは、地域の廃棄物管理の発展状況を類型化し、それぞれのステージで想定される廃棄物管理の特性と、気象・地理・社会要因などを規定することで、埋立地浸出水質の特徴とその適正管理に必要な技術システムを提案する。単なる低コスト・簡易管理という方向性ではなく、廃棄物管理におけるエネルギー、環境負荷(特に水中の窒素汚濁)、温室効果ガス、将来の対策コストまでを考慮した上で、廃棄物管理の一部としての「アジア型」浸出水対策のあり方を提案する。
今年度の研究概要
埋立層への浸出水循環技術の現地適応化に関する技術情報を収集する。埋立地形状、集水地点との高度差、降水排除形態などの構造情報と、水分布・浸透挙動に関する理化学的情報を元に、浸出水循環の時期・位置・量に関する運転条件を提示する。埋立層及び浸出水中の微生物群集と酸素濃度の現状を把握し、微量酸素センシングによる効率的窒素除去の実験的検討を開始する。
貯留池の容量及び形状に関する現地調査を行い、人工湿地化可能な範囲と水量に関する提案を行う。広範囲かつ簡易に人工湿地への改変を可能とする基盤材・植生を選定する。浸出水質に適合した水処理技術(嫌気性消化・光触媒)に関する実験室での基礎的な検討を開始する。
アジア各国における廃棄物管理体系の履歴と現状、浸出水対策の現状調査を行い、廃棄物に関係する問題の抽出と整理を行い、類型化に向けた基礎情報とするとともに、上記Gの技術開発目標設定にフィードバックする。
外部との連携
高知大学、京都大学、大阪大学
- 関連する研究課題