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気候変動に伴う生物の分布変化が多様性と生態系の構造に与える影響の解明(平成 23年度)
How do changes in species’ distribution pattern caused by climate change affect biodiversity and ecosystem structure?

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1115AQ014
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
生態系モデル,気候変動,生物多様性,進化,生物の分布変化
キーワード(英語)
ecosystem model, climate change, biodiversity, evolution, change in species’ distribution

研究概要

温暖化が進行したときに多様性や生態系の性質がどのように変わるのかを明らかにすることは重要な課題であり、現在盛んに研究が行われている。これまでの研究では、あくまで生物の性質は変化せず、基本的にそれぞれの生物が現在住んでいる場所と同じ環境条件になる場所に移動することを前提としていた。しかし、温暖化に対する生物の反応は様々であり、あまり敏感に反応しない生物もいれば、素早く反応して住む場所を変えるものも知られている。そのため、それぞれの生態系は、暖かい地域からの生物の移入と、寒冷な地域への一部の生物の移出という撹乱を同時に受けることになる。さらに温暖化に対応できずに滅びる生物もいると考えられるし、変化に対応して性質を変化させる生物も知られている。また、移入してきた生物と新たな相互作用を構築することも考えられる。このように、温暖化が起こると、新しい生物の移入、今までいた生物の移出や絶滅、生物の性質の変化、新しい相互作用の形成など、複数の撹乱要因が生態系に同時に加わることになるが、これまでの研究ではその点が考慮されていなかった。そこで本研究では、熱帯域から極域にわたって多数の生態系を配置し、その中で生物がお互いに相互作用しながら進化するシミュレーションモデルを作成し、そのモデル内で温暖化を起こし、温暖化後に生態系に加わる上記のような撹乱によって多様性や生態系の構造がどのように変わるのかを明らかにすることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

 初年度は、緯度勾配に沿って複数の仮想的な生態系が配列し、その中で生物が相互作用、進化、移動を繰り返すような、大規模な生態系モデルを構築する。次年度以降は、このモデルを用いて温暖化が起こったと仮定したシミュレーションを行い、多様性(全体・個々の生態系内)やそれぞれの生態系の構造にどのような変化が起こるのかを解析する。温暖化後の多様性変化パターンを解析し、どのような性質を持つ生物が特に絶滅しやすいのか、を明らかにし、優先的な保全対象となる種を明らかにする。その後、多様性創出のメカニズムを明らかにすることを目指し、気候変動(温暖化、寒冷化)を繰り返し起こし、それによって多様性がどのような影響を受けるのかを明らかにし、多様性の緯度勾配の成立に対して、気候変動とそれに対応した生物の進化がどの程度寄与しているのかを明らかにする。

今年度の研究概要

 緯度勾配に沿って複数の仮想的な生態系が配列し、その中で生物が相互作用、進化、移動を繰り返すような、大規模な生態系モデルを構築する。

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

吉田 勝彦

  • 生物多様性領域
    生物多様性保全計画研究室
  • 主幹研究員
  • 博士 (理学)
  • 生物学,地学,コンピュータ科学
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