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津波に対する海浜植生の維持・回復機構の解明 -スマトラ沖大津波を事例として-(平成 23年度)
Resilience of coastal sand-dune vegetation after the Indian Ocean tsunami of 2004 in southern Thailand

予算区分
NA 寄付
研究課題コード
1111NA001
開始/終了年度
2011~2011年
キーワード(日本語)
津波,津波,植生回復,植生回復,海浜植生,海浜植生,脆弱性,脆弱性
キーワード(英語)
tsunami, tsunami, vegetation recovery, vegetation recovery, coastal sand-dune vegetation, coastal sand-dune vegetation, coastal vulnerability, coastal vulnerability

研究概要

近年、世界的に台風や竜巻と言った恒常的な攪乱のほか、地震由来の津波等 (一過性) の様々な自然災害が多発しており、そのスケールも甚大化している。しかし、大規模自然攪乱が沿岸環境や固有生態系へ及ぼす影響に資する研究はこれまで十分に行われてこなかった。
そこで、本研究では、一過性の大規模自然攪乱事例の一つとして、スマトラ沖大津波を対象に、津波に対する海浜植生の維持・回復機構の解明を行うことを目的とする。特に、人為改変様式や程度の違いによる海浜生態系の津波攪乱に対する影響の変化に着目し、攪乱前後の同一地点における植物群集及び土地的環境データについて追跡調査を実施し、時空間の動態解析を行った上で、海浜植生の攪乱指標性の整理を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究は、2004年のスマトラ沖大地震に伴う津波発生後の海浜生態系の維持・回復機構の解明に向けて、特に植物に注目し、タイ国の自然性の高い海岸を含む管理形態の異なる海岸の同一地点においてモニタリングを実施するものである。研究目的達成のため、以下の3点の調査を実施する。
(1) 植物群集の動態及び外来種の消長
(2) 海浜景観の時系列変化
(3) 海浜環境の回復過程
 津波攪乱は通常の海からの一方向攪乱とは異なり、押し波、引き潮の双方向攪乱であるため、津波後に内陸の土砂が厚く堆積する箇所がみられ、植生や土壌環境の大規模な変化が生じ、その後の回復過程にも大きな影響を及ぼしていると考える。さらに、人為改変の程度が、津波後の初期動態にも大きな影響を及ぼしていた(Hayasaka et al. 2009)。
そこで、本研究では、上記3調査結果を統合して、各植物の生育条件について、時間軸(津波前、津波直後、本調査)毎に因子分析や重回帰分析等の多変量解析から抽出し、津波前の条件を基準とした場合の、各種の生育条件の変動と植生の回復過程から、津波攪乱の影響を受けやすい種(群落)〜耐性のある種(群落)について(攪乱指標性)明らかにすると共に、津波に対する海浜生態系の維持・回復過程における人為改変様式の違いが及ぼす影響度について評価する。その際、津波後に侵入した外来種の定着・分布拡大パターンについても検討し、海浜植生への侵入リスクも評価する。

今年度の研究概要

本研究は、2004年のスマトラ沖大地震に伴う津波発生後の海浜生態系の維持・回復機構の解明に向けて、特に植物に注目し、タイ国の自然性の高い海岸を含む管理形態の異なる海岸の同一地点においてモニタリングを実施するものである。研究目的達成のため、以下の3点の調査を実施する。
(1) 植物群集の動態及び外来種の消長
過去調査(Hayasaka & Fujiwara 2005; Hayasaka et al. 2009)と同一地点・面積において、植物社会学的調査(Braun-Blanquet 1964)を実施し、津波後に侵入した外来種を含む植物の組成や各種の優占度及び生活史の特性の時系列変化を明らかにする。
(2) 海浜景観の時系列変化
過去と同一地点の景観写真や植生調査資料を用いて、海浜景観の時間変化について解析する。
(3) 海浜環境の回復過程
各調査区で、土壌硬度、含水度、比高、粒径組成等の海岸物理環境の指標となるデータを取得し、海浜環境の回復過程について評価する。
 本研究では、上記3調査結果を統合して、各植物の生育条件について、時間軸(津波前、津波直後、本調査)毎に因子分析や重回帰分析等の多変量解析から抽出し、津波前の条件を基準とした場合の、各種の生育条件の変動と植生の回復過程から、津波攪乱の影響を受けやすい種(群落)〜耐性のある種(群落)について(攪乱指標性)明らかにすると共に、津波に対する海浜生態系の維持・回復過程における人為改変様式の違いが及ぼす影響度について評価する。その際、津波後に侵入した外来種の定着・分布拡大パターンについても検討し、海浜植生への侵入リスクも評価する。

備考

東日本大震災対応関連研究(特に、津波による海浜生態系への影響評価)に寄与するバックデータとなる。

関連する研究課題

課題代表者

早坂 大亮